先日、舞台版「千と千尋の神隠し」を観て来ました。


私は、映画版の静かな凪の海を電車が走るシーンが、とてつもなく好きでした。

20年前の公開当時、この風景は「自分の心象風景のようだ」とも感じていて、何度も繰り返し観た記憶があります。

(声が出せなくなって、苦しんでいた時期でしたので)。

 

さて、そのシーンを舞台でどう表現するんだろう。

いや、それだけじゃない。

油屋は?

あの異形の神様たちは?

白龍は?

湯婆婆の頭は?

大きな赤ん坊の坊は?

興味は尽きません。

 

オープニング。

橋本環奈ちゃんが千尋として舞台の上に立った瞬間から、一気に異世界に引きずり込まれました。

そして、「うわぁ!そうきたか!」の連続。

 

次々に展開する舞台。

思った以上に、人力とアナログでぐいぐいと押されます。

千尋と一緒に、あたふたする感覚も味わえますよ。

全てプロの仕事。

見事です。

そして、海のシーンのシンプルで美しいこと。

 

橋本環奈ちゃんは、可憐。

夏木マリさんの湯婆婆は、アニメよりも超絶パワフルでチャーミング。

ダンサーの辻本知彦さん演じる、カオナシの動きは息をのみます。

咲妃みゆさんのリンはとてつもなくリンで格好良く、三浦宏規さんのハクは美しい。

 

世情に目を向けると、日々信じられないことがたくさん起こっていますが、エンターテインメントの世界は、踏ん張り続けています。

 

この時代に劇場に足を運び、中止の憂き目にも会わず、たくさんの人たちと一緒にスタンディングオベーションが出来たこと。

それは、とても幸せでありがたいことでした。