今年の3月末から、ボイトレの個人レッスンをお休みしています。

飛沫感染が心配なら、オンラインがあるさ!

当然そうなるだろうなと理解はしていたのですが、
気持ちは重く、いつまでもグズグズと動き出せませんでした。

私は、ボイトレを受けに来てくださる方と同じ空間にいて、
お互いがリラックスした状態でレッスンをすることが重要だと考えています。
相手の声を受け取るということは、話されている内容だけでなく、

発する人の声の振動や姿勢、筋肉の使い方、呼吸の深さ、身体全体から
醸し出される空気感みたいなものまで感受する必要がありますから。

無理。オンラインではできない

それが、私の結論でした。

ところが、長年続けて来た大学のセミナーは、ZOOMを利用した
オンラインセミナーに変更されましたし、中止になった自治体の講演は、

動画制作をしてYouTubeで配信という流れになりました。

私は一生懸命ブレーキを踏んでいるのに、車はまったく止まってくれない

という不安定な状態の中で、冷や汗をかきつつパソコンの前で奮闘して

いると、意外にも面白がっている自分がいることに気づきました。

あぁ、そうだった、そうだった。
私の最も好きな四字熟語は「臨機応変」だったんだ。

変化に応じることが、「」ではなかったはずではないか。

いかんいかん、年を取ってしもうたのか。
 

というわけで、遅ればせながらZOOMを使ったオンラインレッスンを
開始してみました。

 

すると早速、「スタジオで録音した歌があるので聞いて
と若い生徒さんのご要望。

メールに添付されて送られて来た音声を流し、

ねぇ、この音、そっちに聴こえてる?

生徒さん大丈夫でぇす

などとオドオドした会話も最初のうちだけ。

歌を聴いてアドバイスをすることが楽しくて、あっという間に

時間が過ぎて行きました。
 

「使えるじゃん、この方法」

ってことで、その後、録音して送っていただいたデータに、動画でアドバイスを返信する
通信・添削レッスン」のシステムを作りました。
こちらも、遠い地域にお住まいの方からお申込みをいただけるようになり、嬉しい限りです。


また別の日。

ある生徒さんは
今、カラオケ屋さんにいます

とのこと。
レッスンで大きな声を出したいので、ひとりカラオケの部屋を借りてスマホでオンライン

レッスンを受けているのだとか。

え? なにそれ。すごいことが出来るんだね!!

私は、思いがけない展開に嬉しくなって、歌って! 声を出して!と大はしゃぎ。
PCやタブレット、スマホさえあれば、私や生徒さんが地球のあっちとこっちにいても、

レッスンは充分出来るわけです。


いやぁ~、すみません!

今さらですが、世の中はすっごいことになっているんだと気付きました。


ヘッドホンを通して聴く生徒さんの声は、ZOOMであれば声の振動もちゃんと

伝わって来ますし、録音でも音はかなりクリアに再生されます。

もちろん、同じ空間にいる時にようにはカバーしきれない部分もたくさんあります。

それでも、大切なことは伝えることが出来ます。


距離を取れ、しゃべるな、歌うな、マスクやフェイスガードを装着せよ、

アクリルボードの壁を立てろと、私たちはどんどん分断されています。

けれど人には、音声を使った他者とのコミュニケーションが必要です。

 

私は生徒さんから、今までとは違うレッスンシステムでも、ニーズにお応えできる

新たな可能性を教わりました。

 

来年は、どんな展開が待っているのかまったく見当も付きません。

けれど、臨機応変に時代の変化を楽しんで行こうと思います。

 

通信・添削レッスンのお返事動画を録画する浜田↓。

充分に楽しそう。