天狼院書店でのイベントが終わった夜、

92歳の義父の容態が急変したと連絡を受けました。

 

夫は、すぐに愛知県春日井市の実家に戻り、義父を見舞い、

その翌日、義父は静かに旅立ちました。

 

今年のお正月

 

もう、これで会えないかもしれないから。

 まみちゃん、身体に気を付けて元気でね

 

と義父から声をかけられて、握手をして別れました。

 

義父の手は、思っていた以上に大きく、力強く感じたのを

憶えています。

 

年齢的にも、病状的にも、お別れはそう遠いことではないと

覚悟をしていたのですが、やはり寂しいです。

 

夫の実家は神道なので、葬儀は神主さんをお呼びしました。

 

祭壇には、立派な昆布や黒鯛や果物がお供えされていて、

祝詞が唱えられます。

 

ご焼香は玉串の奉納となり、初七日や四十九日の法要は

十日祭や五十日祭となります。

 

祭り」なんですね。

 

斎場にお線香の香りはなく、代わりにお花とお榊の香りが

満ちています。

 

神道の葬儀形式も、良いものだなと思いました。

 

高校生の娘は、

 

おじいちゃんは、きっと、私が泣いているところを見るのは

辛いだろうから、私は、おじいちゃんの前では泣かない。

でも、感情を溜め込むのも身体に良くないから、風呂場で

号泣した

 

と言いました。

 

涙腺の蛇口が故障している私にとって、涙は止めようがなく

ダダ漏れの状態なのですが、彼女なりの気遣いや送り方が

あるのだとわかって、少々驚きました。

 

そして、穏やかに微笑んで眠るお義父さんの顔に、

娘はそっと手で触れて

 

おじいちゃん、肌年齢、若い。大丈夫

 

とも。

 

何が大丈夫なのかはわかりませんが、お義父さんの

照れたような笑顔が思い浮かびました。

 

棺の小窓が閉じられるとき、

 

じゃ、またね

 

と声をかけていた娘の思いを、お義父さんはちゃんと受け取って

くれたような気がします。

 

残された家族みんなで、泣いたり笑ったりしながらお義父さんを

見送れたことは、幸せなことです。

 

生きているうちに出来ることを、精一杯して行こうと思います。

 

お義父さん、じゃ、またね。

ゆっくり休んでくださいね。