「頑張る」という言葉は、数年前からとても分が悪い。
被災して必死で生活を立て直そうとしている人に、
「頑張って」と軽々しく言う人がいたからだ。
「私、こんなに頑張っているのに。
何をこれ以上頑張れって言うの?
無神経にもほどがあるわ!」
と返す人があり、それを知ったときに、
「なるほど、
頑張っている人に、頑張っては無神経だな」
と思い至った。
無神経な人だと思われたくなくて、
「頑張って」と言いたいときには、
ちゃんと相手の状況をみて、なるべく他の言葉を
探して、気持ちを伝えるようにした。
ところが、NHKの朝ドラ「ひよっこ」を観ていると、
この「頑張る」が降るように聴こえてくる。
「頑張ろう、頑張ろうね」と、主人公が幼い妹や弟に言う。
「頑張る、頑張るからね」と、仲良しの同級生に言う。
「頑張れ、頑張れ」と、集団就職で上京した子どもたちの
背中に向かって、担任の教師が祈るようにつぶやく。
そんな「頑張れ」が出てくるたびに、なぜか私は泣く。
ポロポロと涙がこぼれてくる。
心細そうな表情で、田舎から上京してきた子どもたちが
かつての自分と重なるからなのか。
いや、今は、見送る親の心境とも重なり、祈るような
気持ちの「頑張れ」に共感して泣く。
今朝の放送でも、ちょっと変わったおじさんが、主人公から届いた
ハガキを手にして、畑の真ん中で空に向かって叫ぶ。
「みね子~、頑張れ~!」
奥茨城の空は、東京にもリバプールにも続いていると。
※おじさんは、ビートルズに憧れている。
もはや、清々しい。
単純な私は、やっぱり「頑張れ」は、良い言葉だよな
と思う。
人を追い詰める武器にもなるけれど、互いを励ますことや、
自らの勇気を奮い立たせることや、相手の幸福を祈る言葉
にもなるんだなと、あらためて気づいた。
だって、何十年も生きていると、頑張らなきゃならない
ときは、誰にだってあるもの。
娘にも、ボイトレに通ってくれる生徒さんたちにも、
祈るような気持ちで「頑張れ」と言いたいときがある。
「頑張らなくていい」という言葉を都合よく解釈して、
自分自身をちゃんと生きない言い訳をし続けている人も
いるけれど・・・
頑張りすぎて疲れきって、立ち上がれなくなった人も
いるけれど・・・
私は、胸の中にひとつ、明るく清々しく心のある「頑張れ」を、
自分のために、大切な人のために、ちゃんと持ち続けていたいと思う。
先日、私が公開している民謡の動画に、コメントをいただいた。
「声、映像 最高です。浜田真実 頑張れ。」
嬉しくて、泣いた。
「母、涙腺、やばいね」
と、娘が笑っていた。
浜田真実、頑張る。
頑張ります。
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