好きな場所はいくつもあるけれど、子どもの頃から、たまらなく
たまらなく好きな場所がある。

劇場。

 

それも、客席が500から1300くらいまでのキャパシティが好き。

きっと、私の根っこの一本は、劇場から伸びているんだろうな
と思う。

 

10代の頃は、劇場に住み着きたいとさえ思っていた。

 

今となっては、そんな怪人みたいな暮らしは出来ないことは
理解しているけれど、劇場に一歩でも足を踏み入れると、
全身の細胞が笑いながら立ち上がるのがわかる。

 

心の底から、嬉しくなる。

 

お客様が入る前の空っぽの客席も、閑散としたロビーも、
薄暗い舞台袖も、妙に素っ気ない楽屋も、何から何まで好き。

 

先週、そんな大好きな場所にどっぷりと居続ける幸福な時間を
いただいた。

 

東京弁護士会主催のお芝居「もがれた翼Vol.23 学びの切符」の
お手伝いで、出演者の方々にボイストレーニングを行ったのだ。

 

ああ!やっぱり、ずっとここにいたい

 

と思った。

 

毎日、ここに通いたい

 

とも思った。

 

たくさんの人がいて、表現したいことのために皆で力を合わせて、
時間と空間と遊びを創造する。

こんな幸福な時間が、他にあるだろうかと思う。

 

スタッフの皆さんは、プロの手際良さで粛々と仕事をしている。

 

出演者は緊張の面持ちで、身体をほぐしたり発声練習をしている。

 

素敵だなぁ。

きれいだなぁ。

 

 

視界に入る全てのものが、キラキラと輝いて見える。

 

それに今回のお芝居は、私がプロデューサーとして参加した映画
わたし、生きてていいのかな」に主演してくれた本下はのちゃんが
主役。

 

10代の男の子役には、娘の高校の同級生(同じ演劇部員)も

出演していて、ご縁も深い。

 

本番が近づくにつれて、出演者の人たちの声もどんどん出せる
ようになったし、役の人間に血が通って魅力的になって行く。

 

 

それにしても、すごい集客力だなぁ。
入場者数は、1100名。

 

20年以上前から行われている演劇なので、固定のファンもいるらしい。

 

実際、脚本も出演者の演技力も、舞台装置や音響や照明もかなり

クオリティが高い。

 

終演後、会場を後にするお客様のたくさんの笑顔を見て、すっかり

エネルギーがチャージされた。

劇場で仕事をするのは、幼い頃の私のあこがれ。

もう一度、その夢を生きて行けたらな…

切に願いながら、もう一歩、思い切って踏み出そうと思った。