1980年に日本テレビで放映されたドラマ「警視K」。

お友だちからの情報で、ラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショーで上映されることを聞きつけ、昨夜、駆け足で行って参りました。

警視Kは、故・勝新太郎さん主演の伝説の刑事ドラマです。

なぜ伝説なのかというと、13本放映されたうちの8本は勝センセイ自らが監督をしているからです。

監督・勝新太郎は、徹底したリアリティを追求しました。

当然、台本などはありません。
セリフは、ほぼアドリブで展開して行きます。

ブツブツつぶやくようにしゃべるので、音声も聴き取りにくくなります。
ストーリーも、かなり飛んで行きます。

そんなこんなで、あちこちからクレームが殺到。
視聴率も下がって、13回目で打ち切りになりました。

ところが、徹底したリアリズムやアーティスティックな映像センスに魅了された、コアなファンがいたんですね。

警視Kは、そんなファンたちの間で、今でも語り草になっています。

そして当時19歳の私は…

「警視K」の撮影現場に、ちょこちょこ呼ばれて行っていました。

選挙事務所の事務員。
ディスコで遊んでいる姉ちゃん。
六本木にたむろしている不良。
赤信号でも平気で渡る、図々しい主婦。
お金持ちの家の家政婦。

等々で、チラチラ出演しています。

もちろんセリフはなく、ただ映っているだけなんですが、勝センセイが仕切る現場の空気を肌で感じることが出来ました。

夢のような時間でした。

昨夜、35年振りに映像を観て、勝センセイは本物のアーティストだったんだという思いが胸に迫って来ました。

ずっと時代を先取りしていて、色っぽくて、格好良い。

前衛的な雰囲気から、ゴダールの映画も思い出しました。

勝センセイも、チンピラを演じていた川谷拓三さんも、犯人役の緒形拳さんも、上司役の小池朝雄さんも、みなさん向こうの世界に旅立たれた方ばかりですが、その存在感の濃さは圧倒的です。

見事です。
凄いです。

それにしても、火曜日の9時にお茶の間に放送出来るドラマでないことは確かでしたね。

さて、この写真。
19歳の私と、警視Kの頃の勝センセイ。

し、渋いわぁ・・・



警視Kの上映は、25日(金)まで。
20:50からのレイトショーのみです。