11月27日、初日。
紬織の人間国宝・志村ふくみさんのお着物と、はぎれ、書籍などが、ものすごく狭い場所、ほぼ日の「TOBICHI」に、ぎゅっと置かれている展示会。
私と友人は、並ばずにすっと入れたのだが、時間帯によっては、外に入場待ちの列が出来ていたらしい。
だって会場は、10人入ると、ちょっと満員感のあるくらいの空間だったから。

額装された、はぎれ↑
植物から染められた、絹糸。
玉ねぎの皮でも色が染められるなんて、ビックリ。
知らないことだらけ。
ウコンの黄色や蘇芳の赤もあるよ。
それにしても、天然の色ってなんて美しいんだろう。
ずっと以前、志村ふくみさんのエッセイを読み、自然と共存し、植物から色を染め、機を織るという行程にいたく感動して、私もかくありたいと願ったものだったが・・・
無理無理無理。
手先の不器用さは、折り紙つき。
細かい作業も、造形創作も苦手。
早々に気付いて断念した。
ところが今回、会場に展示してあった淡い色に染められたショールを何気なく肩にかけた瞬間、私の身体とショールの接点から、ふわっと光が溢れ出たような気がした。
こ、これが、本物のオーラというものか!
と、いたく感動。
自分で創るのは無理でも、いつか国産車一台分くらいのお値段だという志村先生の紬を着て、堂々と街を闊歩できる女になりたいものだと思った。
続いて、志村先生の織られた、渋めのショールを手にとって観た。
柔らかい。
艶やか。
縦糸、横糸も感覚に任せて、自由に織られているという。
あ…
リズムを感じる。
織った人の息づかいやリズムが、織物の中に存在している。
すごいなぁ。
そうか、手織りの反物って、音楽だ。
歌だよ。
音や色と同じように、物にある波動が、天然素材の手織りの作品には明確に感じられるんだ。
その波長に共鳴すると、きっと自分の波動も増幅されて拡がるんだろうな。
だからさっき、光を感じたのかもしれない。
なんと素晴らしい、学びのひととき!
ふと横を見ると、和服の女性。
女優の鈴木保奈美さん。
あわてて、友人に小声でご注進。
「鈴木保奈美がいるぞ!」
わ~い!声が聴きたい。
何かしゃべってくれ。
狭い会場で、鈴木さんの背中に貼り付くように移動していたら、「このショール、反物と同じ幅で織られているものかしら・・・」と、係の女性に話しかけられていた時の声に、ききみみを立てる。
なるほど、鈴を転がすような声でしゃべっておられる。
うふふ、楽しい。
いやいや、あなた。
挙動不振の、単なるミーハーになってますから。
あぁ、でも、もっとお着物も観たかったなぁ。
博物館や遠い所に展示されたものじゃなく、誰かが着ている紬にも触れてみたかった。
自然をまとってみたかった。
会場を後にして、友人と外苑を散歩。