解体され、新しい生き物として再生された、
摩訶不思議な声を持つ、人懐こいサイボーグTatsuya。
第2第4水曜日は、ききみみずきんの日。
というわけで、今週は、9年前に出版された私の著書、「声美人で愛される人になる」(ソニーマガジンズ刊)
でも取り上げた、若手実力俳優の声に再び、ききみみを立ててみました!
◆◆◆
藤原竜也さん。
若手だと思っていたら、すでに32歳なんですね~!
蜷川幸雄さん演出の舞台、「身毒丸」で鮮烈なデビューを果たしたのが、15歳の時だそうです。
以来、舞台・映画・ドラマなどに大活躍の藤原さん。
178cmの長身から発せられる声は、かなり個性的。
そこで今回あらためて、じっくりと声を聴いてみたのですが・・・
驚いたことに、15歳の声と17年後の32歳の声が、あまり変わっていないんですよね。
藤原さんは、お酒も強いし、タバコの本数も多いようです。
当然、声にも影響は出ているのですが、ベースの部分は変わっていません。
同じ年代の、「嵐」のメンバーたちは、デビューから15年を経て、少年声から大人声に驚くほど変わっているのに、藤原さんの声は変わらないんです。
年齢的なことだけでなく、映画や舞台やナレーションなど、仕事の質が違っても、やはり藤原さんの声は、変わりません。
淡々と、藤原竜也であり続けています。
強烈な芯がある声です。
その反面、何者でもない声でもあるような気がします。
サイボーグ・・・?
なんだか、とっても不思議な声です。
◆◆◆
学芸会にすら出たことのなかった14歳のサッカー少年が、街を歩いていた時にスカウトされ、蜷川幸雄に出会ったわけです。
その稽古は、まず「人格否定」から始まりました。
家族と離れて、いきなり一人暮らしになっただけでなく、罵倒され物を投げつけられ、稽古場で、泣くことしかできない毎日。
「身毒丸」は、寺山修司の作品です。
相手役は、白石加代子。
初舞台の自分が、主演です。
母に恋をし、目を潰されて、地獄に落ちる少年の話。
想像を絶する体験です。
考えただけでも、恐ろしいです。
でも・・・
ふと気づくと、ロンドンの劇場に立ち、万雷の拍手を浴びている自分がいたのだそうです。
「通過儀礼」
そんな言葉が浮かびました。
人生の節目のイニシエーション。
身体的苦痛を伴うことが多いのですが、それを乗り越えることで、一人前の大人の男として、周囲に受け入れられるための儀式でもあります。
藤原さんは、現代社会では薄れてきた通過儀礼を、心身共に経験したのではないでしょうか。
しかも、強烈な形で。
作品と蜷川幸雄が、少年藤原竜也を解体し、演劇という核を埋め込み、生まれ変わらせた。
つまりデビュー後の藤原さんは、細胞の隅々まで役者という、新種の生き物になったわけです。
運命を受け入れ、自分を捨て去り、生まれかわることが出来たこと。
それが、藤原さんのしなやかさであり、天才と称される由縁でもあると思うのです。
声の質は、かなりエキセントリック。
なのに、ザラッっとした硬質な肌触りが妙に心地良く、聴いているうちに、癖になる声です。
するするっと人の懐に飛び込み、天真爛漫な雰囲気で人の心をつかみ、しなやかでいて、その実、とてつもなく冷めている。
そんな、不思議な声。
藤原さんの役が、どんどん幅広くなっているのは、その声の不思議さも一役買っているのだと思います。
あなたもききみみを立てて、藤原竜也さんの声を聴いてみてくださいね!
摩訶不思議な声を持つ、人懐こいサイボーグTatsuya。
第2第4水曜日は、ききみみずきんの日。
というわけで、今週は、9年前に出版された私の著書、「声美人で愛される人になる」(ソニーマガジンズ刊)
でも取り上げた、若手実力俳優の声に再び、ききみみを立ててみました!
◆◆◆
藤原竜也さん。
若手だと思っていたら、すでに32歳なんですね~!
蜷川幸雄さん演出の舞台、「身毒丸」で鮮烈なデビューを果たしたのが、15歳の時だそうです。
以来、舞台・映画・ドラマなどに大活躍の藤原さん。
178cmの長身から発せられる声は、かなり個性的。
そこで今回あらためて、じっくりと声を聴いてみたのですが・・・
驚いたことに、15歳の声と17年後の32歳の声が、あまり変わっていないんですよね。
藤原さんは、お酒も強いし、タバコの本数も多いようです。
当然、声にも影響は出ているのですが、ベースの部分は変わっていません。
同じ年代の、「嵐」のメンバーたちは、デビューから15年を経て、少年声から大人声に驚くほど変わっているのに、藤原さんの声は変わらないんです。
年齢的なことだけでなく、映画や舞台やナレーションなど、仕事の質が違っても、やはり藤原さんの声は、変わりません。
淡々と、藤原竜也であり続けています。
強烈な芯がある声です。
その反面、何者でもない声でもあるような気がします。
サイボーグ・・・?
なんだか、とっても不思議な声です。
◆◆◆
学芸会にすら出たことのなかった14歳のサッカー少年が、街を歩いていた時にスカウトされ、蜷川幸雄に出会ったわけです。
その稽古は、まず「人格否定」から始まりました。
家族と離れて、いきなり一人暮らしになっただけでなく、罵倒され物を投げつけられ、稽古場で、泣くことしかできない毎日。
「身毒丸」は、寺山修司の作品です。
相手役は、白石加代子。
初舞台の自分が、主演です。
母に恋をし、目を潰されて、地獄に落ちる少年の話。
想像を絶する体験です。
考えただけでも、恐ろしいです。
でも・・・
ふと気づくと、ロンドンの劇場に立ち、万雷の拍手を浴びている自分がいたのだそうです。
「通過儀礼」
そんな言葉が浮かびました。
人生の節目のイニシエーション。
身体的苦痛を伴うことが多いのですが、それを乗り越えることで、一人前の大人の男として、周囲に受け入れられるための儀式でもあります。
藤原さんは、現代社会では薄れてきた通過儀礼を、心身共に経験したのではないでしょうか。
しかも、強烈な形で。
作品と蜷川幸雄が、少年藤原竜也を解体し、演劇という核を埋め込み、生まれ変わらせた。
つまりデビュー後の藤原さんは、細胞の隅々まで役者という、新種の生き物になったわけです。
運命を受け入れ、自分を捨て去り、生まれかわることが出来たこと。
それが、藤原さんのしなやかさであり、天才と称される由縁でもあると思うのです。
声の質は、かなりエキセントリック。
なのに、ザラッっとした硬質な肌触りが妙に心地良く、聴いているうちに、癖になる声です。
するするっと人の懐に飛び込み、天真爛漫な雰囲気で人の心をつかみ、しなやかでいて、その実、とてつもなく冷めている。
そんな、不思議な声。
藤原さんの役が、どんどん幅広くなっているのは、その声の不思議さも一役買っているのだと思います。
あなたもききみみを立てて、藤原竜也さんの声を聴いてみてくださいね!