性別・年齢・上下・全てを超越した、滋味豊かな芸術家の声

毎朝8時頃に、テレビから聴こえてくる、摩訶不思議な声。

ごきげんよう。さようなら

NHKの連続テレビ小説「花子とアン」のナレーション、美輪明宏さんの声です。

朝から、美輪さんの声ってどうなの?

と、巷では賛否両論が巻き起こっている様子。

そこで・・・
ききみみを立ててみました。

◆◆◆

美輪明宏さん、1935年生まれの78歳!
私の父と同い年です。

80代が目前の人とは、とても思えませんね。
いつもシャキッと姿勢よく立っていらして、声量も見事です。

性別だけでなく、年齢をも超越した存在だと感じます。

さて美輪さんは、俳優であり演出家でもあり、シャンソン歌手でもありますが、本来はクラシックの発声を勉強された方です。

深みのある独特の音声は、クラシックの発声法が土台になっているのでしょう。

でもお若い頃の声は、鼻にかかった細くて甲高い声なんですよね。

現在の、男声でも女声でもない「美輪明宏の声」は、相当な鍛練で育て上げられた声だと思います。

そうでなければ、78歳まであの声は維持できなかったと思いますし。

ところで・・・

私は以前、美輪さんが出演していらしたシャンソン喫茶・銀巴里で歌っていました。

そのご縁で、何度か直接お会いしたことがあります。

最初にお見かけしたのは、20数年前。

でもそれは、シャンソンとはまったく関係のない、とあるお寺の境内でした。

美輪さんがマスコミに登場される機会も、今ほどは多くなかった頃です。

そのお寺のお坊さんは、病気を治す神通力のあるお坊さん(!?)ということでした。

私は、知人の紹介でお寺を訪ねたのですが、美輪さんは、マネージャーらしき男性とご一緒に来られ、酷く咳き込み苦しそうにしていらっしゃいました。

先日聴いたラジオ番組によると、当時美輪さんは、ストレスが多い日々で、タバコを吸い続け、肺を病み、気管支炎で咳が止まらない状態だったそうです。

ここからは、あくまでも私の仮説なのですが、美輪さんの発声で特徴的な細かい震えがありますよね。

ビブラートというのですが、私は、肺や気管支が弱い人は、発声時にビブラートがかかりやすいのではないかと感じています。

私自身も、肺や気管支が弱く、胸やノドに力を入れて発声する癖がありましたので、ビブラートが強く出る時期がありました。

ただ美輪さんの場合は、呼吸が苦しい時だけでなく、意図的にビブラートを使っている場面もあるような気がします。

おどろおどろしい雰囲気を出すために。

◆◆◆

さて、「花子とアン」のナレーション。

怖いとか重いとか、合わないとか、さまざまな意見があるようです。

私は、美輪さんの表現者としての実力が遺憾なく発揮されているなと思っています。

主人公の健気さを、大きく包み込むような深みのある声。
登場人物の心情に寄り添い、思いやる声。
少しお茶目で、愛嬌のある声。


78歳の老人が出せる声ではありません。

実に自在。
実に豊かです。

それこそ、ちょっと上の方から皆を応援し行く末を見守る不思議な存在が発する声のようです。

番組最後の決まり文句

ごきげんよう、さようなら

も、毎回ニュアンスが違います。

アクの強さは天下一品なので、好き嫌いが別れる「」と「表現」だと思いますが、私は美輪さんのナレーション、遊び心も満載で、大好きです。

年齢を重ねれば重ねる程、私たちの声は色濃く豊かになります。

ただし、ちゃんと自分と向き合い、声を育て続けることが条件です。

その結果、得られた声は、魅力や富み、生きてきた人生を輝かせ、聴く人を歓ばせる、滋味豊かな声になるのだと思います。

70代の自分を楽しむためにも、ぜひ今から声を育てて準備をしておきましょうね。

あなたもききみみを立てて
美輪明宏さんの声を、聴いてみてくださいね!

ずっと以前、美輪さんとお会いした日のこと、をブログに書きました。
ぜひ、お読みください↓
http://ameblo.jp/hamadamami/entry-10798118443.html