相手を構えさせない、愛ある理想の上司&
ジャズコミュニケーションの声
先日、32年の歴史に幕をおろした「笑っていいとも!」。
移り変わりの早いテレビの世界で、32年間も番組が続くというのは、驚異的ですよね。
でもタモリさん、「いいとも」だけじゃない。
深夜番組「タモリ倶楽部」は、32年(継続中)。
歌番組「ミュージックステーション」の司会は、27年(継続中)。
ドラマ「世にも奇妙な物語」の出演は、24年。
タモリさんの仕事は、どうしてこんなに続くんだろう・・・?
タモリさんの声を聴きながら、長く愛される理由を考えてみました。
◆◆◆
タモリさんの声の最も大きな特徴は、「構えがない」ということ。
人は時折、相手の立場で発声が変わったりします。
自分より、立場が上か下か。
年齢が上か下か。
有名か無名か等々・・・
嫌われたくない。
認めてもらいたい。
うわ~!緊張する!!
そんな意識が、身体にも出るんですね。
すると、声が硬くなり音質が変わります。
ところが、タモリさんにはそれがない。
まったくないんです。
首相でも、ハリウッドの有名俳優でも、一般人でも、若手芸人でも発声は同じ。
たぶん、子どもや高齢者に対しても、同じトーンで話されると思います。
懐を広くして、相手をひとりの人間として受け入れていながら、いつも同じ「私」でいる。
これ、実は、すごいことだと思うんです。
さて、「構えがない」声で話されると、受け取る相手は、どうなると思いますか?
余計な「構え」が、取れます。
不思議なくらい自然体でいられますし、安心して心を開くことができます。
ご自分の番組では、ゲスト・レギュラー陣・お客さん、全て同じ目線で同じトーン。
たぶん誰もが、タモリさんの前では、素直なひとりの人間に戻れるのではないでしょうか。
この懐の深さ穏やかさは、相当なご苦労を経て開花した、タモリさんの才能のひとつです。
さらに、タモリさんのコミュニケーションのベースは、ジャズの要素を感じます。
それもフリージャズ。
予定調和を嫌い、ふっと外して意外性や緊張感を出し、面白く融合させて遊ぶ。
まさに、ジャズの下地があるからこその、コミュニケーション術ですね。
このコミュニケーション術があれば、関係の中に、いつも新鮮な躍動感があります。
私は、たぶん、30年以上も番組が長く続いたのは、この構えのなさと新鮮さがあったからだと思うのです。
同じことを続けているようでいて、タモリさん自身が、まったく飽きずに新鮮な気持ちで、身構えず楽しんでいたということですよね。
相当な努力も必要だと思いますが。
ところでタモリさんは、まだタクシーを使って移動していた頃、タクシーの運転手さんを相手に、「なりすまし芸」を磨いたのだそうですよ。
新聞を読んで情報を収集し、医者や大学教授・弁護士・ビジネスマンなどになりすまし、運転手さんと話すのだそうです。
「いいとも」も始まっていた頃なので、顔も有名だったのですが、サングラスを外して素顔で話した結果、一度もばれなかったそうです。
声が、安心させるんですね。
そして、すっと人の心に入って行けるので、相手も、つい信じてしまう。
悪い方向に使うと、人をだますことができる声でもあるというわけです。
◆◆◆
私はタモリさんの中に、幼い頃のタモリさんの影を感じます。
才能が有るが故に、同世代の友人にあまり理解されず、孤独でシャイな少年時代を過ごした影が、色濃く残っているような気がするんです。
怪我で失った右眼の光も、タモリさんの人格形成には、大きな影響を与えているはずです。
でもそれが、人間の本質を見抜く感覚や、ある種の諦念、したたかな観察眼、シニカルな笑いの土台になったのではないかと推察します。
そして、構えのない声は、寄る辺のない寂しさも含んでいるんです。
でも、根本には言いようのない愛嬌もあるんですね。
それが、タモリさんの独特の存在感を形成しています。
タモリさんの影は、同じように才能があって、孤独でシャイな少年時代を過ごしたアーティストたちと、強烈に共鳴したように思います。
タモリさんを見出したのは、多くのミュージシャンやアーティストですから。
中でも、漫画家の赤塚不二夫さんは、物心両面でタモリさんを支え、世に送り出した人でもあります。
赤塚さんとタモリさんには、強烈に響き合う何かがあったのでしょうね。
タモリさんの類まれな才能を見出し、育て、深く深く愛して世に送り出した。
他者ではわからないくらい、濃く強い結びつきだったのだと感じます。
私が思うに、「いいとも!」でタモリさんが続けて来られたことは、赤塚さんからのご恩送り。
若手を愛情いっぱいに育てる場と、チャンスを創り援助し続けたのですものね。
いただいた恩義を、感謝を込めて、次世代に贈ったのだと思うのです。
タモリさんと話した人は、さりげない優しさが感じられて、タモリさんのことが、大好きになるのだそうですよ。
「構えのない声」「愛される声」は「相手を構えさせず」「相手を愛し育てる」ための声でもあるわけです。
だからこそ、長く長く続く番組の中心にいられるんですね。
タモリさんの在り方、そして声は、管理職の方や、プロジェクトリーダ、そして私たち大人世代が真摯に学ぶべき声だと思いました。
あなたもききみみをたてて、
タモリさんの声を、よ~く聴いてみてくださいね。
ジャズコミュニケーションの声
先日、32年の歴史に幕をおろした「笑っていいとも!」。
移り変わりの早いテレビの世界で、32年間も番組が続くというのは、驚異的ですよね。
でもタモリさん、「いいとも」だけじゃない。
深夜番組「タモリ倶楽部」は、32年(継続中)。
歌番組「ミュージックステーション」の司会は、27年(継続中)。
ドラマ「世にも奇妙な物語」の出演は、24年。
タモリさんの仕事は、どうしてこんなに続くんだろう・・・?
タモリさんの声を聴きながら、長く愛される理由を考えてみました。
◆◆◆
タモリさんの声の最も大きな特徴は、「構えがない」ということ。
人は時折、相手の立場で発声が変わったりします。
自分より、立場が上か下か。
年齢が上か下か。
有名か無名か等々・・・
嫌われたくない。
認めてもらいたい。
うわ~!緊張する!!
そんな意識が、身体にも出るんですね。
すると、声が硬くなり音質が変わります。
ところが、タモリさんにはそれがない。
まったくないんです。
首相でも、ハリウッドの有名俳優でも、一般人でも、若手芸人でも発声は同じ。
たぶん、子どもや高齢者に対しても、同じトーンで話されると思います。
懐を広くして、相手をひとりの人間として受け入れていながら、いつも同じ「私」でいる。
これ、実は、すごいことだと思うんです。
さて、「構えがない」声で話されると、受け取る相手は、どうなると思いますか?
余計な「構え」が、取れます。
不思議なくらい自然体でいられますし、安心して心を開くことができます。
ご自分の番組では、ゲスト・レギュラー陣・お客さん、全て同じ目線で同じトーン。
たぶん誰もが、タモリさんの前では、素直なひとりの人間に戻れるのではないでしょうか。
この懐の深さ穏やかさは、相当なご苦労を経て開花した、タモリさんの才能のひとつです。
さらに、タモリさんのコミュニケーションのベースは、ジャズの要素を感じます。
それもフリージャズ。
予定調和を嫌い、ふっと外して意外性や緊張感を出し、面白く融合させて遊ぶ。
まさに、ジャズの下地があるからこその、コミュニケーション術ですね。
このコミュニケーション術があれば、関係の中に、いつも新鮮な躍動感があります。
私は、たぶん、30年以上も番組が長く続いたのは、この構えのなさと新鮮さがあったからだと思うのです。
同じことを続けているようでいて、タモリさん自身が、まったく飽きずに新鮮な気持ちで、身構えず楽しんでいたということですよね。
相当な努力も必要だと思いますが。
ところでタモリさんは、まだタクシーを使って移動していた頃、タクシーの運転手さんを相手に、「なりすまし芸」を磨いたのだそうですよ。
新聞を読んで情報を収集し、医者や大学教授・弁護士・ビジネスマンなどになりすまし、運転手さんと話すのだそうです。
「いいとも」も始まっていた頃なので、顔も有名だったのですが、サングラスを外して素顔で話した結果、一度もばれなかったそうです。
声が、安心させるんですね。
そして、すっと人の心に入って行けるので、相手も、つい信じてしまう。
悪い方向に使うと、人をだますことができる声でもあるというわけです。
◆◆◆
私はタモリさんの中に、幼い頃のタモリさんの影を感じます。
才能が有るが故に、同世代の友人にあまり理解されず、孤独でシャイな少年時代を過ごした影が、色濃く残っているような気がするんです。
怪我で失った右眼の光も、タモリさんの人格形成には、大きな影響を与えているはずです。
でもそれが、人間の本質を見抜く感覚や、ある種の諦念、したたかな観察眼、シニカルな笑いの土台になったのではないかと推察します。
そして、構えのない声は、寄る辺のない寂しさも含んでいるんです。
でも、根本には言いようのない愛嬌もあるんですね。
それが、タモリさんの独特の存在感を形成しています。
タモリさんの影は、同じように才能があって、孤独でシャイな少年時代を過ごしたアーティストたちと、強烈に共鳴したように思います。
タモリさんを見出したのは、多くのミュージシャンやアーティストですから。
中でも、漫画家の赤塚不二夫さんは、物心両面でタモリさんを支え、世に送り出した人でもあります。
赤塚さんとタモリさんには、強烈に響き合う何かがあったのでしょうね。
タモリさんの類まれな才能を見出し、育て、深く深く愛して世に送り出した。
他者ではわからないくらい、濃く強い結びつきだったのだと感じます。
私が思うに、「いいとも!」でタモリさんが続けて来られたことは、赤塚さんからのご恩送り。
若手を愛情いっぱいに育てる場と、チャンスを創り援助し続けたのですものね。
いただいた恩義を、感謝を込めて、次世代に贈ったのだと思うのです。
タモリさんと話した人は、さりげない優しさが感じられて、タモリさんのことが、大好きになるのだそうですよ。
「構えのない声」「愛される声」は「相手を構えさせず」「相手を愛し育てる」ための声でもあるわけです。
だからこそ、長く長く続く番組の中心にいられるんですね。
タモリさんの在り方、そして声は、管理職の方や、プロジェクトリーダ、そして私たち大人世代が真摯に学ぶべき声だと思いました。
あなたもききみみをたてて、
タモリさんの声を、よ~く聴いてみてくださいね。