私 「もしもし、今、私、どこにいるんでしょう…?」
携帯電話を握りしめて呆然としている私。
夫 「は?なにそれ、なぞなぞ?」
電話の向こうで、夫がのんきに笑う。
私 「いや、真面目に分からんのだ。自分のいるところが」
夫 「えっ?・・・あぁ、迷ったの?また?
仕方ないなぁ、そこから何が見える?」
夫は慣れたもので、パソコンで地図をみながら、ナビをしてくれる。
夫 「そこからさ、たぶん西に歩くんだと思うよ」
私 「いや、西と言われても、どちらが西かわからん」
夫 「お日様が沈む方向だよっ!」
私 「太陽見てたって、どっちに沈むかすぐにはわからんでしょうが!」
夫 「じゃ、もう一回駅まで戻れっ!」
しなくていいケンカが始まる。<
半泣き状態で駅まで戻ったら、そもそも、降りる駅を間違えていた。
ここまでくると、ほぼ病んでいる。
私は西も東も分からず、地図をグルグル回しながら見ても、現在地が把握しにくい。
重度の方向音痴。
絵本作家のもとしたいづみさんも、同じ方向音痴仲間。
ついでにこの人は数字にも弱く、私のレッスンを受けた時も、レッスン費を払わずに帰ることがある。
あとからハッと気付いて、あわてて戻って来て支払ったりしてくれるのだが、その上を行く数字音痴の私は、レッスン費をいただいていないことにもまったく気付いておらず、しかも請求金額もあやふやで、おつりを出す段階で、ふたりでかたまったりする。
これでは、ふたりとも商売は出来ない。
数字に強いマネージャーが欲しいところだが、熱烈な信頼関係が築ける人じゃないと、突然スタジオ閉鎖の憂き目にあったりもするしね。
コツコツ電卓片手に、自分でやるしかないのかなとも思う。
いづみさんは、方向と数字は音痴だけど、文章と歌とものを観る目は確かだよなといつも思う。感嘆する。
絵本作家だから、それで良い。
それが、とっても素敵で格好良いと思う。
以前、手広くお料理教室をしているある料理研究家と、いただき物のお菓子でお茶の時間を過ごしていた時のこと。
料理 「あら!これ美味しいお菓子だわね!素材は何かしら?
職業柄、美味しいものを頂くと、すぐに素材が気になるのよね」
私 「豆でしょ」
料理 「え?違うわよ。何かなぁ、何の味かしら?」
私 「いや、だから豆だってば」
料理 「違う!もっと複雑な味なの!」
そこで菓子箱をひっくり返してみたら「原材料/大豆・砂糖」と書いてあった。
料理研究家が味音痴だとまずい。
いや、まずいどころか仕事にしてはダメだと思う。
その人は今、料理研究家を辞めて、人材派遣会社の社長。
それが正しい選択だと思った。
そして、昨日。
吉祥寺のトムズボックスギャラリーで行われていた、「まよいみちこさん」(文・もとしたいづみ、絵・田中六大)の原画展、最終日にすべりこんだ。
方向音痴のいづみさんが書く「まよいみちこさん」は、まさに真骨頂。
でも、私にとって吉祥寺は魔界。
案の定、また、迷った。
(つづく)
夫 「は?なにそれ、なぞなぞ?」
電話の向こうで、夫がのんきに笑う。
私 「いや、真面目に分からんのだ。自分のいるところが」
夫 「えっ?・・・あぁ、迷ったの?また?
仕方ないなぁ、そこから何が見える?」
夫は慣れたもので、パソコンで地図をみながら、ナビをしてくれる。
夫 「そこからさ、たぶん西に歩くんだと思うよ」
私 「いや、西と言われても、どちらが西かわからん」
夫 「お日様が沈む方向だよっ!」
私 「太陽見てたって、どっちに沈むかすぐにはわからんでしょうが!」
夫 「じゃ、もう一回駅まで戻れっ!」
しなくていいケンカが始まる。<
半泣き状態で駅まで戻ったら、そもそも、降りる駅を間違えていた。
ここまでくると、ほぼ病んでいる。
私は西も東も分からず、地図をグルグル回しながら見ても、現在地が把握しにくい。
重度の方向音痴。
絵本作家のもとしたいづみさんも、同じ方向音痴仲間。
ついでにこの人は数字にも弱く、私のレッスンを受けた時も、レッスン費を払わずに帰ることがある。
あとからハッと気付いて、あわてて戻って来て支払ったりしてくれるのだが、その上を行く数字音痴の私は、レッスン費をいただいていないことにもまったく気付いておらず、しかも請求金額もあやふやで、おつりを出す段階で、ふたりでかたまったりする。
これでは、ふたりとも商売は出来ない。
数字に強いマネージャーが欲しいところだが、熱烈な信頼関係が築ける人じゃないと、突然スタジオ閉鎖の憂き目にあったりもするしね。
コツコツ電卓片手に、自分でやるしかないのかなとも思う。
いづみさんは、方向と数字は音痴だけど、文章と歌とものを観る目は確かだよなといつも思う。感嘆する。
絵本作家だから、それで良い。
それが、とっても素敵で格好良いと思う。
以前、手広くお料理教室をしているある料理研究家と、いただき物のお菓子でお茶の時間を過ごしていた時のこと。
料理 「あら!これ美味しいお菓子だわね!素材は何かしら?
職業柄、美味しいものを頂くと、すぐに素材が気になるのよね」
私 「豆でしょ」
料理 「え?違うわよ。何かなぁ、何の味かしら?」
私 「いや、だから豆だってば」
料理 「違う!もっと複雑な味なの!」
そこで菓子箱をひっくり返してみたら「原材料/大豆・砂糖」と書いてあった。
料理研究家が味音痴だとまずい。
いや、まずいどころか仕事にしてはダメだと思う。
その人は今、料理研究家を辞めて、人材派遣会社の社長。
それが正しい選択だと思った。
そして、昨日。
吉祥寺のトムズボックスギャラリーで行われていた、「まよいみちこさん」(文・もとしたいづみ、絵・田中六大)の原画展、最終日にすべりこんだ。
方向音痴のいづみさんが書く「まよいみちこさん」は、まさに真骨頂。
でも、私にとって吉祥寺は魔界。
案の定、また、迷った。
(つづく)