マミィズボイススタイルをオープンして、
来年で10年。
いつの間にか、長いお付き合いになった方もいます。
◆◆◆
その中のおひとり、美代子さん。
2年ほど前、
「60歳の誕生日にライブをしたい」
と美代子さんから告げられた時は、「イイね~♪」
などと、笑って聞き流していました。
「ライブハウスで歌って踊って、ピアノの生演奏で、
お客様は50名以上で・・・」
美代子さんの妄想は、果てしなく拡がります。
私は歌い手なので、その大変さ厳しさを痛感して
います。
密かに様子をうかがっていると、どうやら美代子さん
無邪気に、「頑張ろう!」という風情。
「ねぇ、本気?」とたずねると、ニッコリ笑って
「本気ですよぉ」と。
大変な事になったなと思いました。
◆◆◆
美代子さんは、ベテランの看護師さん。
歌やステージとは無縁の人です。
経験は、発表会のみ。
2時間近くあるライブを、どう構成するのか。
プロなら、自分と向き合い、徹底的に歌の質を
高める練習をすれば良いんです。
でも素人さんは、それだけでは、かなり厳しい。
ただ出てきて、歌って、本人だけが満足して終わり、
というのでは、面白くありません。
私も、納得できないですしね。
どうせ私が関わるなら、50数名のお客様も美代子さんも、
スタッフも、全員が楽しくなければ、意味がない。
そう思いました。
でも・・・お客様、そんなにたくさん来て下さるのかしら?
どうしよう・・・
こうして、美代子さんと私は、ライブ本番に向かう
デコボコ道を、一緒に歩き始めました。
◆◆◆
目の前にいる人の、魅力やチャームポイントを見つけて
引き出す作業は、とても楽しいものです。
でもそのためには、ちょっと越えなければならない山も
あります。
自分では見たくない弱さや、情けなさ、隠しておきたい
あれこれも、徹底的に向き合う必要があるからです。
始まったら逃れることの出来ないステージに立つと、
キレイごとのメッキなんて、すぐにはがれ落ちます。
生身の自分を、全て引き受ける覚悟がいるんです。
何度もやり直しを迫る私に、美代子さんは、かなり
悔しい思いもしたでしょう。
「ここまで言われたら、もうあきらめるかも・・・」
と思いましたが、美代子さんはあきらめませんでした。
「そもそも、なんで、ライブやりたいの?」
私は、たずねました。
美代子さんは、言いました。
「60年、生きて来られたんです。
お世話になった人に、お礼がしたい」
◆◆◆
美代子さんは、ライブをやることで、自分の60年の
足跡を、ひとつひとつたどることになりました。
;笑いながら、泣きながら。
その過程が、ギュッと濃縮されて、ステージの空間に
キラキラとあふれ出したら、それでライブは成功です。
やがて、マミィズの他のメンバーも、ゲスト出演や
スタッフとして協力してくれることになりました。
そして、当日。
会場のライブハウスには、中学・高校の同級生や部活の
顧問の先生まで駆け付けて、なんと総勢50名以上。
満席です。
美代子さんは、ピアノの生演奏で歌い、語り、演じて
2時間近くのステージを生き切りました。
みんな、笑顔でした。
妄想が夢になり、目標になり、そして、見事叶いました!
ひとりでは持ちきれない程の花束に埋もれた美代子さんを
見た時、私はふと思いました。
自分を開き表現することは、祝福なのだと。
祝福のコミュニケーションは、こんなにも温かく、
関わる人すべての心を潤すものなのだと。
「さぁ!次、何をしましょうかね!」
帰り道、美代子さんからそう声をかけられた時、
私はガックリと脱力すると共に、不思議にワクワクと
した、私自身の声が心の奥から聴こえてきました。
「そう、次は私。何する?」
来年で10年。
いつの間にか、長いお付き合いになった方もいます。
◆◆◆
その中のおひとり、美代子さん。
2年ほど前、
「60歳の誕生日にライブをしたい」
と美代子さんから告げられた時は、「イイね~♪」
などと、笑って聞き流していました。
「ライブハウスで歌って踊って、ピアノの生演奏で、
お客様は50名以上で・・・」
美代子さんの妄想は、果てしなく拡がります。
私は歌い手なので、その大変さ厳しさを痛感して
います。
密かに様子をうかがっていると、どうやら美代子さん
無邪気に、「頑張ろう!」という風情。
「ねぇ、本気?」とたずねると、ニッコリ笑って
「本気ですよぉ」と。
大変な事になったなと思いました。
◆◆◆
美代子さんは、ベテランの看護師さん。
歌やステージとは無縁の人です。
経験は、発表会のみ。
2時間近くあるライブを、どう構成するのか。
プロなら、自分と向き合い、徹底的に歌の質を
高める練習をすれば良いんです。
でも素人さんは、それだけでは、かなり厳しい。
ただ出てきて、歌って、本人だけが満足して終わり、
というのでは、面白くありません。
私も、納得できないですしね。
どうせ私が関わるなら、50数名のお客様も美代子さんも、
スタッフも、全員が楽しくなければ、意味がない。
そう思いました。
でも・・・お客様、そんなにたくさん来て下さるのかしら?
どうしよう・・・
こうして、美代子さんと私は、ライブ本番に向かう
デコボコ道を、一緒に歩き始めました。
◆◆◆
目の前にいる人の、魅力やチャームポイントを見つけて
引き出す作業は、とても楽しいものです。
でもそのためには、ちょっと越えなければならない山も
あります。
自分では見たくない弱さや、情けなさ、隠しておきたい
あれこれも、徹底的に向き合う必要があるからです。
始まったら逃れることの出来ないステージに立つと、
キレイごとのメッキなんて、すぐにはがれ落ちます。
生身の自分を、全て引き受ける覚悟がいるんです。
何度もやり直しを迫る私に、美代子さんは、かなり
悔しい思いもしたでしょう。
「ここまで言われたら、もうあきらめるかも・・・」
と思いましたが、美代子さんはあきらめませんでした。
「そもそも、なんで、ライブやりたいの?」
私は、たずねました。
美代子さんは、言いました。
「60年、生きて来られたんです。
お世話になった人に、お礼がしたい」
◆◆◆
美代子さんは、ライブをやることで、自分の60年の
足跡を、ひとつひとつたどることになりました。
;笑いながら、泣きながら。
その過程が、ギュッと濃縮されて、ステージの空間に
キラキラとあふれ出したら、それでライブは成功です。
やがて、マミィズの他のメンバーも、ゲスト出演や
スタッフとして協力してくれることになりました。
そして、当日。
会場のライブハウスには、中学・高校の同級生や部活の
顧問の先生まで駆け付けて、なんと総勢50名以上。
満席です。
美代子さんは、ピアノの生演奏で歌い、語り、演じて
2時間近くのステージを生き切りました。
みんな、笑顔でした。
妄想が夢になり、目標になり、そして、見事叶いました!
ひとりでは持ちきれない程の花束に埋もれた美代子さんを
見た時、私はふと思いました。
自分を開き表現することは、祝福なのだと。
祝福のコミュニケーションは、こんなにも温かく、
関わる人すべての心を潤すものなのだと。
「さぁ!次、何をしましょうかね!」
帰り道、美代子さんからそう声をかけられた時、
私はガックリと脱力すると共に、不思議にワクワクと
した、私自身の声が心の奥から聴こえてきました。
「そう、次は私。何する?」