先週末は、富士山麓にいた。
カチカチ山にロープウェイで登り、山頂から山中湖を望む。
絶景!



山頂の立て看板には、なぜか太宰治↓
太宰は生前、この山の近くのお茶屋さんに逗留していた。
そのお茶屋さんで書いたのが、「太宰版・カチカチ山」。
この山が、舞台なのだそうだ。



『うさぎとたぬきが登場するカチカチ山の昔話を、冷酷な美少女うさぎと、愚鈍で大食いの中年男たぬきに移し替えて物語を展開。
残酷な仕打ちを受けても、うさぎに恋焦がれ追い求めるたぬき。
最後は、うさぎに惨殺される。
湖に沈むたぬきを、微笑みながらみつめるうさぎ』

え・・・
なんか、生々しいんですけど。
太宰さん、かなり悶々としていたんでしょうね。

そんな人間のあれこれは、小せぇ、小せぇ。
カチカチ山から望む、富士山頂は、こんなに雄大。

吹雪だな。
冬の富士山は、ものすごく怖い山なんだそうだ。
でも、下から見上げれば、ただただありがたく・・・


生きてて良かったなぁと、ひとりごと。
富士山、大好き。

この後、富士山の麓をグルグルとドライブしてたどり着いたのは、今宵のお宿。
精進湖の畔。
静か・・・

16:30頃になると、ホテルの館内放送が流れる。
「今、少しだけ赤富士が窓からお楽しみいただけます~♪」
どれどれと、宿の窓から見ると、こんな風景↓



薄く、赤富士。
刻一刻の色を変える富士山を、ただただ見ている。
一瞬たりとも、同じ色がない。
心と身体にこびりついた、不必要なものがどんどん落ちて行く。
時間にして15分。
あっという間に、富士山は夜の闇に包まれた。

そして一夜明けて・・・
シルエットで浮かび上がる富士山。
なんて、美しい。


精進湖から観る富士山は、手前に大室山があることから、子抱き富士という異名がある。
どことなく優しく、そして、何等かの意思を持って佇んでいるよう。



日が昇り切る頃、たくさんの飛行機雲の向こうに、大きな雲が湧き上がり、富士山は姿を隠してしまった。
何だか、とてつもなく雄大な「ショー」を観ていた気分。
自然に手を合わせ、今ここに生きていることを感謝した。

さて、朝の散歩は、近所の神社まで。
樹齢1200年の杉の巨木↓



この杉の根っこは、ここからあるいて5分くらい離れている精進湖まで伸びているのだそう。
ビックリ!
立派に成長するためには、根は深く広く張っているものなんだと知ってはいたけど、これほどまでとは。

ホテルをチェックアウトをして、鳴沢の氷穴へ。
青木ヶ原樹海の地下洞窟。

狭くて暗いところが大嫌いな私だが、面白そうだとうっかり入ってしまった。
入口付近で、すぐに大後悔。
腰が砕けるわ、寒いわ、天然氷がゴロゴロしていて滑るわで、半泣き状態。


怖いよ~!
助けてくれ~!
「母さん、うるさい。
子どももおばあさんも全然平気なのに、半泣きなのは母さんだけだからね」
と娘に叱られる。
そして、夫と娘は、嬉しそうに二度も氷の穴に潜っていった。
ぽつねんと待つ、母ひとり。

さて、旅の最後は、富士山レーダードーム館。
富士山頂にあったレーダードームが役目を終えて移設され、展示されている。
中には、富士山頂の氷点下と風を体験できるコーナーもあり、寒がりなのに、また興味本位で入ってしまったために、せっかく温泉で温まった身体も、元の木阿弥。
シンまで冷えた。



でも、ま、いいか。
富士山は、やっぱりパワースポットだなと思う。
エネルギーチャージが出来たし、明日からまた頑張ろうと、家族三人わははと笑いながら、帰路についた。

感謝。