アイデンティティ・クライシス。
自己崩壊とでも言うのかしら。
ショックなことがあって、今までの自分じゃいられなくなる経験ってことなんだろうな。
それは、セレブじゃなくても、お嬢様じゃなくてもあるんだろうけど、40代のAさんは、「クライシス」はお嬢様の特権だと思っている、らしい。
2日目のお昼。
今日こそ、ランチは若者と… と思っていると、両脇をしっかり40代Aさんと、60代Bさんにカバーされ、当然のように、昨日のカフェに引きずり込まれた。
60代Bさんは、フランス語がペラペラで、若かりし頃はフランス系の企業にお勤めだったようだ。
A 「へぇ~、なんていう会社ですか?」
B 「○○○という社名の会社です」
A 「知らん、聞いたことがない」
いや、そりゃそうだろう。
フランス系の企業なんて、ただでさえ、名前が難しいし憶えられないし・・・
と思ったが、Aさんは、ざっくり言い放つ。
Aさん、そんなにお嬢様が嫌いか?
何か、お嬢様に恨みでもあるのか。
でもBさん、何を言われても気にならない。
ひたすらシャンソンとかシャンゼリゼのお話をしている。
Bさん、やっぱりお嬢様か。
AさんとBさんは、向かい合って話をしているのだが、ことごとく通じ合わない。
「何?何のこと?」
とAさんは、私に通訳を求める。
Aさん、私のことはお嬢様だと思っていない。
むしろ仲間だと思っているらしく、Bさんのことを
「このお嬢様が!」
という視線でみながら、私に同意を求める視線を送る。
視線は無視して、私はふたりの間で必死に通訳をする。
みんな日本人同士なのに。
お嬢様Bさんが、私に言った。
「Face Bookとか、やっていらっしゃいますの?」
「あ、はい!やってます。 お友だちになりましょうか!」
ようやく、会話らしい会話になって来た。
明るい笑顔で答える私。
B 「私、やってません」
濱田 「・・・・・・」
Bさん、なんで唐突に・・・?
「ねぇ、フェイスブックって何?」
Aさん登場。
「えっ!!あ~、え~っと、それは・・・」
必死に説明をする濱田。
いや、言葉にしてもわかりにくいから、サイトをみてもらおうかな。
アイフォンを取りだす。
A 「ねぇ、それ何?」
濱 「え?それって?」
A 「その機械?」
濱 「えっ?!キカイ?」
A 「その手に持っているヤツ」
濱 「ええっ~!こ、これは・・・」
A 「あ!それがフェイスブックっての?」
濱 「いえ、あ、これはアイフォン、け、携帯電話みたいな・・・」
A 「へぇ~、携帯?へぇ~」
私が当たり前だと思っているものが、当たり前じゃない世界がある。
世界には、いろいろな人がいるから、IT機器だって知らない人がいて当然なんだ。
私の基準が、世界の基準であるはずがない。
だが、Aさん私より随分若いはずだけど、「何それ?」って質問できるのはエライ。
知ったかぶりしないのは、エライ。
濱田、フェイスブックは忘れたふりで、話を変える。
「ここのカフェ、ちょっとパンが硬いですよね~、歯が折れるかと思った」
と、笑いを取りに走る。
A 「カフェ?え~!ここ、カフェ?へぇ~、ここがカフェなんだ~!しゃれてるぅ!」
アイデンティティ・クライシスッ!
荻窪在住のAさん。
私をバカにしているのかと思ったら、パンの硬い店がカフェだと知って本気で感動している。
Aさん、もしかして、あなたがお嬢様?
「フランスのパンは、こんなものよ」
とBさん。
す、すみませんねぇ~!
柔らかいパンが好みなんでっ!!
そして私は、途方に暮れる。
自己崩壊とでも言うのかしら。
ショックなことがあって、今までの自分じゃいられなくなる経験ってことなんだろうな。
それは、セレブじゃなくても、お嬢様じゃなくてもあるんだろうけど、40代のAさんは、「クライシス」はお嬢様の特権だと思っている、らしい。
2日目のお昼。
今日こそ、ランチは若者と… と思っていると、両脇をしっかり40代Aさんと、60代Bさんにカバーされ、当然のように、昨日のカフェに引きずり込まれた。
60代Bさんは、フランス語がペラペラで、若かりし頃はフランス系の企業にお勤めだったようだ。
A 「へぇ~、なんていう会社ですか?」
B 「○○○という社名の会社です」
A 「知らん、聞いたことがない」
いや、そりゃそうだろう。
フランス系の企業なんて、ただでさえ、名前が難しいし憶えられないし・・・
と思ったが、Aさんは、ざっくり言い放つ。
Aさん、そんなにお嬢様が嫌いか?
何か、お嬢様に恨みでもあるのか。
でもBさん、何を言われても気にならない。
ひたすらシャンソンとかシャンゼリゼのお話をしている。
Bさん、やっぱりお嬢様か。
AさんとBさんは、向かい合って話をしているのだが、ことごとく通じ合わない。
「何?何のこと?」
とAさんは、私に通訳を求める。
Aさん、私のことはお嬢様だと思っていない。
むしろ仲間だと思っているらしく、Bさんのことを
「このお嬢様が!」
という視線でみながら、私に同意を求める視線を送る。
視線は無視して、私はふたりの間で必死に通訳をする。
みんな日本人同士なのに。
お嬢様Bさんが、私に言った。
「Face Bookとか、やっていらっしゃいますの?」
「あ、はい!やってます。 お友だちになりましょうか!」
ようやく、会話らしい会話になって来た。
明るい笑顔で答える私。
B 「私、やってません」
濱田 「・・・・・・」
Bさん、なんで唐突に・・・?
「ねぇ、フェイスブックって何?」
Aさん登場。
「えっ!!あ~、え~っと、それは・・・」
必死に説明をする濱田。
いや、言葉にしてもわかりにくいから、サイトをみてもらおうかな。
アイフォンを取りだす。
A 「ねぇ、それ何?」
濱 「え?それって?」
A 「その機械?」
濱 「えっ?!キカイ?」
A 「その手に持っているヤツ」
濱 「ええっ~!こ、これは・・・」
A 「あ!それがフェイスブックっての?」
濱 「いえ、あ、これはアイフォン、け、携帯電話みたいな・・・」
A 「へぇ~、携帯?へぇ~」
私が当たり前だと思っているものが、当たり前じゃない世界がある。
世界には、いろいろな人がいるから、IT機器だって知らない人がいて当然なんだ。
私の基準が、世界の基準であるはずがない。
だが、Aさん私より随分若いはずだけど、「何それ?」って質問できるのはエライ。
知ったかぶりしないのは、エライ。
濱田、フェイスブックは忘れたふりで、話を変える。
「ここのカフェ、ちょっとパンが硬いですよね~、歯が折れるかと思った」
と、笑いを取りに走る。
A 「カフェ?え~!ここ、カフェ?へぇ~、ここがカフェなんだ~!しゃれてるぅ!」
アイデンティティ・クライシスッ!
荻窪在住のAさん。
私をバカにしているのかと思ったら、パンの硬い店がカフェだと知って本気で感動している。
Aさん、もしかして、あなたがお嬢様?
「フランスのパンは、こんなものよ」
とBさん。
す、すみませんねぇ~!
柔らかいパンが好みなんでっ!!
そして私は、途方に暮れる。