私の主宰するボイストレーニングクラスに通うA子さん。
この春、社内での異動が決まり新しい環境になりました。

どうしても緊張しますよね~。
私のことを知らない人ばかりでしょ。
なめられちゃいけないんで


それを聞いて、とっさに出て来た私の言葉。

えっ? 別に、なめられてもいいんじゃないの? ダメなの?
えっ?ダメですよ。仕事が出来る人だと思われたいし

「どう思われてもいいじゃ~ん!」
というのは、彼女の仕事環境を知らない、私の無責任な言葉かもしれません。
でもね・・・

「私は出来る人です」
「私は立派な人間です」

ということを周囲の人に認知してもらうためには、けっこうエネルギーを
使いますよ。
直接言えないから、遠回しに分かってもらおうと、あれこれ操作して、
「出来る人度」をアピールし続けなければならない。
いつも身構えているので、心も身体も疲れますしね。
新しい仕事に慣れるより、気疲れしてミスが増えたりもします。

一方B子さんも、この春、重要な役職につき新しい環境にうつりました。

最初は疲れましたよ。
でも、周囲の期待に応えなくても良い、と気付いたんです。
あなたの期待に、私は応える必要はない。
この役職にふさわしい人間になる必要もない。 
私は私らしくいて良い。
そして、この場を楽しんで良い。
そう思えたら、ものすごく楽になりました


「なめられちゃいかん」も「期待に応えよう」も、自分の中にあって良いけれど、
振り回されるとツライくなりますよね。
B子さんのように、そんな気持ちを一旦手放すことが出来れば、楽になります。

どんな場にいても、私は私でいて良い。
破綻も、凸凹もある私で良いんです。

凹は、とっても恥ずかしいと思うから、隠して「立派」を装うけれど、凹は、ぜんぜん
恥ずかしくないなと、ようやく気付きました。
むしろ私たちは、凹があるからこそ、人とつながれるんですね。

助けて下さい。
力を貸して下さい。
教えて下さい。
一緒にいてください。

そんな言葉を素直に言えるようになれば、今よりもっと世界は広くなるし、
身構えなくても大丈夫な自分でいられます。

それは、ひとりではけっして生きて行けないことを知っている、謙虚で
おだやかな思いやりも生むのではと思うのです。

私も道の途中。
人の評価を主体にするよりも、私を主体にすること。
そして、私の中に響く声を、静かに聴き取りながら、歩いて行こうと思います。