ピアノの音合わせで、異常な緊張感を感じたことで、過去の私のシャンソンに対する思い込みが解消されたらしい。
翌日、すっきりと目が覚めた。

20年ほど前は、自分に自信が持てずに、シャンソンや、シャンソンのライブハウスに抵抗し「絶対、ここから抜け出してやる!」
と強がることで、自我をなんとか保っていたのかもしれない。
それは、疲れる。
心因性の喘息になったのも、無理はない。

もうきっと、あれもこれも必要ないんだな。
素直に力を抜いて、歌いたい歌を歌って行けば良いんだ!
と、リハの緊張が気付かせてくれた。

これも、ある意味、不必要な生理的エネルギーの解放かもね。

ふと思いついて、20年程前の私のステージのビデオを取り出してみた。

今まで、怖くて、観れなかったものばかり。
観るとかならず、自分が嫌になって、苦しくなるから、ほとんど観ることはなかったビデオ。

観た。
京都の大きなステージで、プロの歌手として歌っている。
当時、30歳の私。
フリフリのドレスを着て、ステージを縦横に使い、時々走りながらも歌っている。
わ!ターンもしてる。
ちょっとぉ、踊ってるじゃない。
エライわぁ~。
息も切れていないしねぇ。
と、妙な部分に感動する。

こんなに素直な気持ちで、シャンソンを歌っている自分の映像を観れたのは初めて。
あらためて、自分の声も客観的に聴き取ることが出来た。
あぁ、私って、こういう歌い手でしたか~!
と、いまさらな感想も持つ。

ヨシヨシ、ようガンバっとる。
それでヨシだったのじゃ。
あとは、充分楽しんで行け!
と、また自分で自分に言ってみた。
ちょっと、嬉しくなった。