発表会の人々⑤・えっちゃんとChiekoちゃん | 浜田真実*しげのぶ真帆 文筆と朗読の「まほろふ舎」

浜田真実*しげのぶ真帆 文筆と朗読の「まほろふ舎」

昭和の終り頃、シャンソン喫茶「銀巴里」にて歌手デビュー。平成の中頃に、心と身体を整えるボイトレ教室「マミィズボイススタイル」オープン。「声美人で愛される人になる」「説得力のある声をつくる」等出版。この頃は「しげのぶ真帆」名義で、文章を書き朗読もしています。

「花伝亭舞香でございます。まっ!いいか!!の舞香と憶えておいて下さい」

とえっちゃんの声が響く。
舞香なのに、本名は美枝子なのに、みんなは何故かえっちゃんと呼ぶ。

えっちゃんの声を聴くと、あぁ、今日も大丈夫だという気になる。
ふっと、私もまだまだ頑張れそうだなと元気になる。

「私、えっちゃんをリスペクトしているんです」とある生徒さんが言っていた。
開かれた明るさとリーダーシップの発揮の仕方がとても素敵だと。

確かにそうだ。
えっちゃんが動くと、若い生徒さんが自然について行く。
格好良い、姉さんなのだ。

えっちゃんとのお付き合いも、もう6年になるなぁ。
その間に、ダンスを踊り、歌を歌い、着付けを習い、落語まで勉強し始めた。
活動が、幅広い。

確か、出会ったころはボランティアで外国人に日本語を教えていた人だったよね。
そんなことも、うっかり忘れてしまいそうな、活発な活動ぶり。

えっちゃんは、マミィズボイススタイルの横のつながりをまとめてもらうリーダーになった。
抜けも漏れもない動きは、私には到底真似できない。

そして、不安で緊張している生徒さん達を、その明るい笑顔で、弾むようにフォローして行く。

ついに来年から「声と表現を楽しむ会(仮)」まで立ち上げて、大人の遊び場までつくり、みんなとさらにつながろうとしている。

でも時々、桜の樹にもたれて、さめざめと泣いたりもする。

えっちゃんは、可愛い。
そして、えっちゃんは、みんなに愛されている。

~~~~☆

Chiekoちゃんは、昨年の発表会に初めて参加してくれた。

その前のレッスンで、歌うことが苦手だと話してくれていたし、怯えている様子だった。
でも、歌に何か強い思いがあるようなので、ゆっくりと声を出し、歌ってもらった。

ひっくり返った。

あまりに良い歌だったので。
声も伸びやかだし、透明感のある声が本当に美しかった。

嘘でしょと思った。
その前の、怯えている様子とリンクしない。

だけど、歌えるからこそ怖くなるということもある。

発表会に出てよと、伝えてみた。
Chiekoちゃんは、かなり悩んで、そして出ると答えてくれた。

昨年の発表会での歌は、本当に真っ直ぐお客様の元に届いて素晴らしかった。

それは、デビューステージとなり、何かが大きく吹っ切れたChiekoちゃんは、新しく生まれた人みたいにイキイキと動きだし、仲間を募ってコーラスグループを結成した。

地元のイベントなどで歌っている。

歌声を取り戻したChiekoちゃん。
今年のステージでも、堂々と美しい歌声を届けてくれた。

来年、私が関わる福祉関係のイベントは、全てChiekoちゃんに任せることが出来たらと思っている。