8月になると、広島の暑い夏を思い出す。
降りしきる蝉しぐれの中を、ただ黙って歩き続けていた、たくさんの人たち。
その姿をぼんやりと眺めていた、広島の子どもだった私。

今年の8月6日は、どんな平和式典になるんだろう。
広島の人たちは、どんなメッセージを発するのだろう。

福島は、まだ終息なんてしていない。
世界的な規模で、放射能汚染は進んでいる。

子どもたちは、どうしたら救われるのだろう。
いつの間にか被曝者になってしまった私たちは、何と闘い、何と調和し、新しい未来をどう築いて行くのだろう。

声を出しても、叫んでも、どこにも届かないような不安を感じる。
せめて、こだまでも返ってきたらなぁ。

いや、今は、出来ることを、精一杯続けて行こう。

どんな酷い状況の中にも、歓びや楽しみの種は隠れている。
それを見つけ出して、みんなと声を出して笑おう。
たまには、一緒に歌ったり叫んだりしよう。

明日は、何が起こるか分からない時代だけれど、それが、必ず新しい未来をひらく力になるはずだから。

そして、祈ろう。

私たちが、過去の過ちを繰り返さないように。
子どもたちに託す新しい未来が、希望に溢れたものであるように。