嵐を乗り越えて | 浜田真実*しげのぶ真帆 文筆と朗読の「まほろふ舎」

浜田真実*しげのぶ真帆 文筆と朗読の「まほろふ舎」

昭和の終り頃、シャンソン喫茶「銀巴里」にて歌手デビュー。平成の中頃に、心と身体を整えるボイトレ教室「マミィズボイススタイル」オープン。「声美人で愛される人になる」「説得力のある声をつくる」等出版。この頃は「しげのぶ真帆」名義で、文章を書き朗読もしています。

本日の生徒さんは、30代半ばの男性。
大企業のビジネスマンだが、もう数年のお付き合いになる。
歌うことが大好きなので、ずっとレッスンを続けて下さっている。

彼は昨日、一週間の東北滞在から帰って来た。
彼の勤めている会社が、震災直後からグループを組んで、東北へボランティアの人員を派遣しているからだ。
避難所での支援活動や、がれきの撤去を手伝ってきたという彼。
企業が率先して、人員を派遣できるシステムは良いなと思う。

彼が、移動中に撮影して来た動画を見せてもらった。
テレビに映らない被災地の様子。
言葉にならない。
しかし、現地の空気に触れるともっともっと違った感覚を受け取るのだろう。

彼の歌が、変わった。
余分な力が抜けている。
聴く耳も出来ていて、音程も発声も別人のようだ。
今まで、既成のアーティストの真似をしようとしていたのに、自分らしさが、個性が出てきている。

もう、いいや!って思ったんです。
目の前に困っている人がいたら助ける。
でも、出来ないことは出来ない。
それで、いいんだと思ったら、何だか楽になったんです。
小さいことに、とらわれなくなったし


実は3月11日以降、歌や声が「良い方」に急激に変化した人が多い。
たくさんのことを考えて、自分に向き合った結果、頭の中が整理されて「自分軸」が明確になったのかもしれない。

声や歌は、その人そのものを表す。
とても正直なものだと、つくづく感じる。

そういえば、私が20代前半だったころ、ボイストレーニングの師匠から賜った言葉がある。

自分の中に、嵐を吹かせろ。
小さく積み上げたものを全てぶっ壊すくらいの嵐を。
そして、その後をかき分け、探して、地面に残ったギラッと光るひとつのものをつかまえろ。
それが、お前の、本質!


当時は、ぼんやりしていたので、「はぁ…」と気の抜けたような返事をした記憶があるが、この言葉は、熱い。
金八先生よりずっとカッコいい。
岡本太郎か、少年ジャンプみたいだ。

きっと今、多くの人の心に嵐が吹き荒れたんだ。
理屈ではなく、すとんと腑に落ちた感じが持てると、人は強い。
ギラッと光る底知れぬ強さは、嵐を乗り越えた人にだけ見つけられる。

◆ボイストレーニングのマミィズボイススタイル
◆濱田真実ホームページ

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