◆カリフォルニアでの事件

1975年、カリフォルニアの小さな町で、5歳から15歳までの子ども26人が、スクールバスから誘拐されました。
彼らは犯人によって、採石場跡の地下の暗闇に、閉じ込められてしまいました。
その数時間後に、採石場の岩盤が崩れ、生き埋めの危機にもあいましたが、彼らは、土砂をかき分け無事脱出。
誘拐から36時間後に、全員救出されました。

ところが、事件から数カ月後、子どもたちに深刻なPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が出始めました。
それは、長期的に子どもたちや家族を苦しめ、社会的な生活が送れなくなる子どももいたのです。

しかし、たった一人だけ、PTSDの症状が出なかった子どもがいました。

◆動き続けていた

当時14歳のボブは、子どもたちが恐怖に凍り付いて動けなくなっていた時に、脱出用の穴を掘り始めました。
危機の中で土砂をかき分け、他の子どもにも働きかけ、トンネルを掘り続けたのです。
結果的に、彼の掘った穴が地上に通じ、全員無事に逃げ出すことが出来ました。

実はその後、彼だけが深刻なPTSDの症状に悩まされずにすんだのです。

私たちは誰でも、とてつもない恐怖に襲われた時、心や身体が硬直反応をおこします。
それは、実際の恐怖が過ぎ去った後でも、私たちを圧倒し続けるのです。
しかしボブの場合、動き続けることで、誰もが体験する心身の硬直反応を体験せずにすみました。

動いたこと、声を出し他者に働きかけたこと。
これが、鍵です。

◆初めての体験

今回の震災は、私たちが初めて体験する未曾有の大災害。
原発の問題も含め、誰もが道を探しながら、迷いながら進んでいる状況です。

恐怖、悲しみ、不安、怒り・・・
今まで感じたことのないような感情が、わき上がってきている人も多いでしょう。

無理もありません。
怖くないはずがない。
だけど私たちは、それでも生きて行かなければならない。
子どもたちの未来に、責任がある。

行く道の途中に、小さな明かりを灯し続けなければならないと思うのです。

◆そのためにできること

トンネルを掘り続けたボブのように、生きるために身体を動かし、呼吸を深め、声を出しましょう。

◎筋肉をほどく
◎ゆったりとした呼吸で身体の循環を促す
◎声を出すことで、骨や身体に振動を与え共鳴させる

硬直反応を改善するためには、これらのことが、とても重要です。

どうか、声を出して下さい。
もし、少しでもゆとりが出来たら、歌いましょう。
歌が苦手なら、隣にいる人に声をかけて話しましょう。
自分の声を聴く、誰かの声を聴くだけでも、折れそうな心が支えられる場合もあります。
出来るだけ休養をとり、たまには感情を解放し、動き、呼吸をし、声を出す。

そこに必ず、希望の火は灯ります。
ゆっくりで構いません。
自分とつながり、他者とつながり、声を出しあって、一緒に進んで行きましょう。

 ~あなたの毎日が、歓びと美しい響きに満ちて
     幸せでありますように~

【参考文献】

■心と身体をつなぐトラウマ・セラピー
 ピーター・リヴァイン著(雲母書房発行)
 http://tinyurl.com/48ecyyk

(2011年3月23日発行号より)

◆ボイストレーニングのマミィズボイススタイル
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