人前で話すことが、大好き!という人は少ないと思う。
スピーチの得意そうな欧米人でさえ「一番の恐怖だと感じることは何?」というアンケートでトップに出るのは、「人前で話すこと」なのだそうだ。
それは、死の恐怖よりも上なのだとか。

それだけ、自分の姿や声を、不特定多数の人の前でさらすのは、怖いものなのだ。
コンプレックスがあれば、なおさら辛い。

しかし、話したくない、声を出したくない、人前に出たくないとどんなに願っていても、仕事や立場上、どうしても出なければならなくなる時もある。

それが、国王という立場だったら…
あぁ、考えただけでも息が苦しくなる。

映画「英国王のスピーチ」を観た。
現エリザベス女王の父君・ジョージ6世をめぐる実話を映画化したものだ。

第二次世界大戦を前にしたイギリスに、吃音障害に悩んでた国王がいた。
王妃が夫のために探し当てたのは、正式な資格を持たない、オーストラリア人の型破りのスピーチセラピスト。

あの時代に、吃音障害の原因がトラウマ(精神的外傷)にあると見抜き、感情の解放などと共に、心身のケアを行いながらスピーチのトレーニングをした人がいた、というのには驚いた。

このライオネル・ローグというスピーチセラピストは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のパイオニア的存在なのだそうだ。

私が心療内科で行っているケアボイスワークや、心と身体をつなぐピュアボイストレーニングの内容とも重なるところがあり、姿勢を正されているような気がした。

そして国王やセラピストの苦悩が、私自身や、今まで出会って来た、たくさんの生徒さんたちと重なった。
地位や名誉を得ても、どんなに特殊な立場にいようとも、私たちは誰もが弱い人間なのだと気付かされた。

私たちは、誰かと心を通わせ支え合うことができなければ、幸福に生きて行くことはできない。

ボイストレーナーや言語聴覚士、医師、セラピストは必見の映画。
そして、声や話し方、コミュニケーションで悩んでいる全ての人たちに、おススメ。

映画の主題は地味だけど、丁寧な作りと凄まじく上手い俳優たちの演技で、今日、発表されたアカデミー賞の主要4部門(監督賞/脚本賞/主演男優賞/作品賞)を受賞。

納得の作品です。

英国王のスピーチ

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