「さ、声を出してみようか!」
レッスン中に私がそう言った途端、Sさんの身体はかち~んと固まってしまいました。
肩が上がって、呼吸が浅くなっています。
声を出そうとすればするほど、苦しそうな表情になり、涙が溢れてきました。
「声を出すことが怖いの?」
私が尋ねると、Sさんは小さくうなずきました。
「ここは、自由に声を出す場所だよ。大丈夫だから、思いきって出してごらん」
Sさんは、意を決したように「ア~」と声を出しましたが、一瞬で声を飲み込み、私に「ごめんなさい」と謝ったのです。
「どうして、謝るの?」と、私はSさんに問いかけました。
「だって・・・、変な声ですから・・・」
「変な声じゃないよー!」と私が言うと、「いいえ、変な声です」と、かたくなにSさんは自分の声を否定しました。
Sさんは人生のどこかの時点で、「自分の声は変」、声を出すことは「怖くて苦しくて嫌なもの」と思い込んでしまったようです。
最初は誰かにからかわれたり、指摘されたのかもしれません。
でも、それをずっと頑なに信じ続けたのは、Sさん自身です。
その枠組みは、自分の力で、外すことができます。
思い込みを捨て去ろう。と決意すれば、次に進めます。
声、出し続けてみましょう。
「ア~」でも「わー!」でも構いません。
時には、嫌な感情が湧き上がってきて、やっぱり変だと落ち込んでしまっても、毎日少しずつ声を出し続けましょう。
決して、自分をあきらめないで。
すると、声に抵抗感がなくなってきます。
声を出すことに、慣れてくるのです。
この「慣れ」がポイントです。
Sさんの脳の中では、声を出すこと=不快、辛い、怖い、嫌だ、という流れが出来上がっていました。
さらに、脳が「声=ストレス要因」と感じているうちは、声を出すことは恐怖ですし、ストレスにさえなります。
でも、「声=歓び」となると、もう声と恐怖やストレスは、結びつかなくなります。
情報を書き換えることは、誰でもできます。絶対にできます。
脳は、そんな風に機能するものだからです。
慣れるまで出し続けましょう。
最初は誰でも、上手くは行きません。
失敗を繰り返して、経験が蓄積され、ようやく、楽しめるようになるのです。
レッスンに来る度に、Sさんの表情は驚くほど明るく変きました。
「自分の声、どう?」と私が尋ねると、Sさんは笑顔で答えました。
「私、意外とイケてるかも。最初は、あんなに嫌いだった自分の声も、今では素直に聞くことができます。むしろ、もっと生かしてやらなくちゃという気持ちになりました」
そう話したSさんは、今、歌を歌い始めました。
その歌声から、私は「歓び」を、贈り物としていただいています。
(2006年11月29日発行号より)
◆ボイストレーニングのマミィズボイススタイル
◆濱田真実のホーム―ページ
レッスン中に私がそう言った途端、Sさんの身体はかち~んと固まってしまいました。
肩が上がって、呼吸が浅くなっています。
声を出そうとすればするほど、苦しそうな表情になり、涙が溢れてきました。
「声を出すことが怖いの?」
私が尋ねると、Sさんは小さくうなずきました。
「ここは、自由に声を出す場所だよ。大丈夫だから、思いきって出してごらん」
Sさんは、意を決したように「ア~」と声を出しましたが、一瞬で声を飲み込み、私に「ごめんなさい」と謝ったのです。
「どうして、謝るの?」と、私はSさんに問いかけました。
「だって・・・、変な声ですから・・・」
「変な声じゃないよー!」と私が言うと、「いいえ、変な声です」と、かたくなにSさんは自分の声を否定しました。
Sさんは人生のどこかの時点で、「自分の声は変」、声を出すことは「怖くて苦しくて嫌なもの」と思い込んでしまったようです。
最初は誰かにからかわれたり、指摘されたのかもしれません。
でも、それをずっと頑なに信じ続けたのは、Sさん自身です。
その枠組みは、自分の力で、外すことができます。
思い込みを捨て去ろう。と決意すれば、次に進めます。
声、出し続けてみましょう。
「ア~」でも「わー!」でも構いません。
時には、嫌な感情が湧き上がってきて、やっぱり変だと落ち込んでしまっても、毎日少しずつ声を出し続けましょう。
決して、自分をあきらめないで。
すると、声に抵抗感がなくなってきます。
声を出すことに、慣れてくるのです。
この「慣れ」がポイントです。
Sさんの脳の中では、声を出すこと=不快、辛い、怖い、嫌だ、という流れが出来上がっていました。
さらに、脳が「声=ストレス要因」と感じているうちは、声を出すことは恐怖ですし、ストレスにさえなります。
でも、「声=歓び」となると、もう声と恐怖やストレスは、結びつかなくなります。
情報を書き換えることは、誰でもできます。絶対にできます。
脳は、そんな風に機能するものだからです。
慣れるまで出し続けましょう。
最初は誰でも、上手くは行きません。
失敗を繰り返して、経験が蓄積され、ようやく、楽しめるようになるのです。
レッスンに来る度に、Sさんの表情は驚くほど明るく変きました。
「自分の声、どう?」と私が尋ねると、Sさんは笑顔で答えました。
「私、意外とイケてるかも。最初は、あんなに嫌いだった自分の声も、今では素直に聞くことができます。むしろ、もっと生かしてやらなくちゃという気持ちになりました」
そう話したSさんは、今、歌を歌い始めました。
その歌声から、私は「歓び」を、贈り物としていただいています。
(2006年11月29日発行号より)
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