声は音です。
音は、空気を波のように揺らして、伝わっていきます。
「音波」と呼ばれているものです。
この音の波に触れると、人はエネルギーを感じます。
大きな音を聞くと、身体がビリビリと震えるように感じたり、鼓膜
が圧迫されて、キ~ンと耳鳴りがすることもありますね。
心地良い音や大好きな音は、身体や心をリラックスさせますし、苦
手な音や嫌いな音は、体調を崩す原因にさえなります。
音は、耳だけで聞くものではありません。
身体全体で、受け取るものです。
皮膚も、骨も、筋肉も、臓器も、神経も、心も・・・
この世界にあふれている音を、あなたの身体は、休むことなく聴き
続けています。
◆レッスン室で
私は毎日、多くの方の声を受け取っています。
その時、頼りになるのが「右耳」と「眼」と「身体の感覚」です。
「右耳」を利き耳にすることで、左脳が働き、声や音の情報を、感
情的にならずに、冷静に分析し処理することができるようになりま
した。
それと同時に「眼」は、生徒さんの身体全体の雰囲気や動き、姿勢
などを見つめています。
そして「身体」の力を抜き、開き、リラックスして、生徒さんの声
を受け取ります。
すると、「身体」が反応し始めるのです。
お腹の中がふわっと温かくなる、皮膚がピリピリとしたエネルギー
を感じる、手足が冷たくなる、鼓動が早くなるなどの変化です。
この「耳で聞く」「眼で見る」「身体で感じる」を同時に行うと、
見えないはずの声が、次第に「観えて」きます。
◆声を観る
私には、声が粒々(つぶつぶ)に観えます。
本当に見えているわけではないんです。そんな風に感じられるだけ
です。
きめ細やかで粒ぞろいの声や、粒がイキイキとしていて、とても張
りのある声がある一方で、粒子の粗い声や、粒がねばって重くなっ
ている声などもあります。
身体全体を使って、素直に出された生徒さんの声は、私の身体が軽
く感じられるほど、心地良いパワーが身体全体に浸透していきます。
粒子が細かいので、身体の内側までスッと入ってくるような感じが
するのです。
そうでない声は、重く、あるいは鈍く、身体にまとわり付く感じが
します。
声は正直です。そして、身体はもっともっと正直です。
声を相手に投げかけるのも、しっかりと受け止めるのも、身体を、
開き、ゆるめるのがポイントです。
そして眼も耳も身体も、センサーのようにイメージしながら、相手
の声をキャッチしてみましょう。
◆声を読む
声を観ていると、相手のさまざまな情報が、読み取れることもあり
ます。
自分の自由な感情表現を抑圧してきた人は、身体感覚と切り
離されている人が多く、声も呼吸も、硬くてこもりがちです。
声を出すことで、子供の頃のような、自由な感情表現や感性を取り
戻すことが、レッスンの主体となるのです。
これは、なかなか自分自身ではわかりにくいことです。
そこで、私がその感覚を言語化してお伝えすることで、本来の声の
輝きを取り戻すための、道案内をしているのです。
◆声はある種の「オーラ」
声は、ある種の「オーラ」なのだなと思うことがあります。
だって声は、本当に正直に、あなた自身を映し出しているのですか
ら。
魔法の鏡ですよね。
まずは、自分自身の感覚を信頼しましょう。
そして、相手の感覚、パワーも心から信頼することです。
(2006年7月7日発行号より)
◆ボイストレーニングのマミィズボイススタイル