先日、夜中にテレビのチャンネルをパチパチ変えていたら、偶然、
NHKの「英語でしゃべらナイト」という番組に遭遇しました。
初めて観た番組でしたので、どういうシチュエーションかよくわか
らなかったのですが、思わず見入ってしまいました。
それは、タレントの釈由美子さんが、オーストラリアを英語で旅す
るというもの。
その中で、オーストラリアの国立演劇学校の体験入学をしていたの
です。
オーストラリア国立演劇学校といえば、ケイト・ブランシェットや
メル・ギブソンを生み出した名門校です。
釈さんは、そこで身体表現のクラスと、ボイストレーニングのクラ
スに参加したのでした。
◆コミュニケーションする身体
身体表現のクラスでは、3~4人の学生がチームを組んでいました。
教師の合図と共に、そのチームが、いっせいに同じ方向に駆け出す
のです。
そして、誰の合図もなく、同時に止まり、そこでポーズをとり、ま
た、合図もなく、いっせいに別の方向へ駆け出して、また、同時に
止まるというのをやっていました。
これは、そのチームのメンバーが、お互いの心をひとつにして、集
中して行動しないと、それぞれがバラバラに止まったり、別々の方
向に駆け出してしまうことになるのです。
言葉を使わずに、エネルギーをひとつにして、身体と意志でコミュ
ニケーションをしていくトレーニングです。
ひとつのことに集中しながら、全体を把握する客観性を持つ。
実はこれ、私たちの日常生活にも大いに必要な感覚です。
自分の視野を広げることにも、役立ちます。
声を育てるためには、この視野の広さは不可欠。
「さすが、名門演劇学校!」と、テレビを見入ってしまいました。
◆イメージをして声を出す
さて、次はボイストレーニングです。
この演劇学校の生徒は、3年間、みっちり発声のトレーニングを受
けます。
表現者にとって、声を磨くことはとても重要なことなので、当然と
いえば当然なのですが、何だか、うらやましく感じてしまいました。
授業が始まり、学生に向って年配の女性教師が言いました。
「思いが声をつくるのよ」
思いのない声は、どこにも届かない。
最初に思いがあってこそ、声が力を持つというのです。
「さぁ、今日はピンクをイメージして声を出しましょう」
学生は、それぞれにピンクをイメージしながら、ハミングをして、
声を出していました。
こうして、イメージ(心)を音(声)にする授業が続いたのです。
―つづく―
(2006年3月18日発行号より)
◆ボイストレーニングのマミィズボイススタイル