この頃、声と呼吸のレッスンを通して感じられるのは、自分のこと
を、素直に表現することを、とても恐れている人が多いなというこ
とです。


彼らは、なるべく目立たないように、波風立たないように、自分の
輪郭をぼかして、存在しているような感じです。


彼らの特徴は、声が声になっていないのです。
息だけで、しゃべっているような感じです。

どんな声かというと、ささやき声。
内緒話のときの、息だけを使ったような、音の少ない声です。


この息だけの声は、声帯に負担をかけます。


ずっとこのしゃべり方をしていると、本当に声が出なくなってしま
うのです。


◆息のない声


一方、息を使わずに、息を止めてしゃべる人もいます。


息が前に出るのが嫌だとか、誰かの元に自分の存在が届くのが怖く
て、息を止めて、口の中に残っている息だけでしゃべるのです。


こちらも、声帯を痛めます。


しかも、呼吸がどんどん浅くなっていくので、身体の不調やイライ
ラがつのり、免疫も下がり、気力も奪われてしまいます。


どちらも、とても不自然で聞き心地が悪いだけでなく、話している
本人も、苦しみが増していきます。


案外、多くの方が、そのような状態に陥っています。

もしかしたら、あなた自身も・・・。


◆出さないものは、溜まる


自分を自由に表現したからと言って、即、誰かから嫌われたり、叱
られたり、侮辱されたりなんて、あり得ません。


たとえそうであっても、それがナニ?


話すのなら、声をしっかり出して話しましょう。
泣くのなら、身をよじって大声で泣きましょう。
笑うのなら、腹を抱えて大声で笑いましょう。

出さない人は、溜まる一方です。


しっかり声を出して話すと、案外、後腐れなくすっきりするもので
す。


声を出さずに話すと「あんなこと言っちゃった」とか「もっと、あ
あ言えばよかった」などと、いつまでもクヨクヨすることになりま
す。


悲しみも苦しみも同じこと。


泣かずに我慢していると、いつまでもずるずると悲しみが残ってし
まいます。


◆極意!


どんなに成功しても、夢を叶えても、ふと気持ちが陰ることはあり
ますし、人との付き合いに難しさを感じたり、不安定になることも
あります。


それは、あたりまえ。


だったら、溜め込まずに声を出してみてください。


びっくりするほど、身体や心が軽くなったと感じられるはずです。
軽くなると、呼吸も深まり生命力が高まります。


息だけでなく、声に出す。

息を使って、声を出す。

これだけで、随分変わってきます。


声を出すところがなければ、カラオケでも、山のてっぺんで叫んで
もいい。


きっと、びっくりするくらいに、人生の流れも良くなるはずです。


(2006年1月11日発行号より)



◆ボイストレーニングのマミィズボイススタイル