三十代の男性の生徒さんです。
やわらかいやさしい声を持っていましたが、自分自身をとても否定的にとらえている人でした。
太い声、男らしい声に憧れて、会話をするときはいつも、作為的に声を作っていたようです。
それらの行為が、心と身体に緊張を生み、体調を崩しがちになっていました。
肩の力を抜き、自然にゆるめて声を出す方法、そして、無理のない呼吸をして、自分と向かい会うということを続けてもらいました。
かなり、難しく感じられたようですが、彼は自宅でレッスンを続けていたようです。
数ヵ月後「その後、何か変化があった?」とたずねる私に、彼はひとこと言いました。
「人が近寄ってくるようになったよ」
自分自身を受け入れること、自然に呼吸をするように存在することの意味が、このひとことで、よくわかりました。
焦りが消えた彼の声は、穏やかで温かいものでした。
◆ボイストレーニングのマミィズボイススタイル