レッスンでたくさんの声をお聞きしていると、やはり心の状態は、明確に声を通して伝わってくることがわかります。
迷いがある人、言いたいことを言えずに生きてきた人、不安や恐怖を感じて怯えている人、虚勢を張っている人、自分は取るに足らないと思い込んでいる人、混乱している人、孤独な人・・・
言葉の内容とは裏腹に、声のトーンや響きがそれを物語っているのです。
今日から数日にわたって、声の輝きを取り戻された人たちのお話をご紹介しますね。
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ある三十代の女性は、声が上ずってしまい、身体を使って声を出すことや、自分の深い思いから声を出すという感覚が、なかなかつかめずにいました。
私は、彼女に嫌いなものを考えてもらいました。
彼女の嫌いなものは、「束縛されること」。
そこで、「『束縛が嫌い!』と大きな声で言ってみて」と伝えました。
最初は戸惑っていた彼女も、「もっと大きな声で!」と私にあおられ、何度も何度も繰り返すうちに、こぶしをにぎりしめ、感情的になって叫びました。
「嫌い!大嫌い!!」
そのとき、彼女からあふれ出てきた声は、聞いたこともないような素晴らしい響きを持った、力強い声でした。
「私は今まで、ポジティブなことしか言わないように、自分を制限してきました。
嫌いなどということは、感じてはいけない、言っちゃいけない言葉だと思ってきたんです。
でも、びっくりしました。こんなに強い声が、私から出てくるなんて」
「身体が震えて、全身から声が出たのがわかりました。
私はもっと自由に、自分のことが表現したかったんですね。
嫌いって叫んだのに、身体も心もすっきりして軽くなりました」
それ以来、彼女の声は変わりました。
心と身体がしっかりと結びつき、違和感のない、自然な声が出るようになったのです。
◆ボイストレーニングのマミィズボイススタイル