●重度の身体障害のため、40年間世話を続けた息子さんが亡くなった後、彼の両親は、旅をする時にいつも、息子さんの写真を持って行ったそうです。
ある旅の時、飛行機に乗ったおふたりは、富士山がとてもきれいに見えたので、息子にも見せたいと、写真を取り出し窓際に置きました。
その時、飲み物のサービスがあり、2人はジュースを注文しました。
スチュワーデスが2人にジュースを渡してから、さらにもう1つのコップにジュースを入れこう言いました。
「お写真の方にもどうぞ」
●長年連れ添った奥さんを亡くし、寂しさを癒したいと、奥さんの写真を胸に、四国八十八ヶ所お遍路の旅を終えた人が、空港のレストランに入りました。
ビールとおつまみ、そして「グラスを2つ」と注文。
ウエートレスが、注文通りグラスを2つ持っていくと、テーブルの上に奥さんの写真がありました。
彼女は黙って下がった後、すぐにもう1組、取り皿とお箸をテーブルに運んだそうです。
●私には2歳年下の妹がいました。
しかし、私が4歳の時に、事故で他界しました。
あれから40年以上の年月が過ぎています。
私の父は、今でも旅行に行くときは、妹の写真と一緒です。
嬉しいことがあると、真っ先に写真の中の妹に報告しています。
その姿と、このふたつのお話が重なりました。
スピードや効率ばかりが優先している世の中ですが、見えたり聞こえたりするものの向こうに、そっと受け止めるべき声がある。
そんな事を思わせてくれました。
声を聞くということは、人の心を聞くことでもあるのですね。
◆心と身体をつなぐマミィズボイススタイル
のボイストレーニング