和子さんは、小学生と保育園児の二人のお子さんのお母さんであり、
フルタイムで働く、ワーキングマザーでもあります。
下のお子さんが障害を持っていることもあり、職場と家庭と病院とを、
走り回る毎日でした。
初めてお会いした時に、和子さんの胸から肩にかけての印象が、何だか
プロテクターをしているみたいにガッチリと硬く感じられました。
お話を伺うと、過呼吸の症状もあり、仕事の途中で倒れてしまったこと
も何度かあったようです。
もちろん専門の医師の診察も受けていらっしゃったようですが、ご自分
でも思うところがあり、私のところを訪ねて下さいました。
腹式を基本にした呼吸法をお伝えして、3度目のレッスンにいらした
時のことです。
和子さんの印象が以前よりも、随分とやわらかく感じられました。
「真実さん、私、胸が薄くなったでしょう。自分でもビックリしてる
んです。全体的に軽い感じがするの。背中に羽根がはえたみたい!」
和子さんはキラッキラとした目で、少女のようでした。
ハードな毎日を乗り越えるために、胸の周りや肩に力を入れて、奮闘し
ていらしたのだと思います。
ストレスが過剰になり、筋肉も強張れば、呼吸がスムーズに行かないの
も無理のない話です。
臍下丹田に意識を下ろして、腹式呼吸をゆっくりと繰り返すことで、全
てを胸で支えようとしていた呼吸の癖が、ようやく自然な状態に戻った
のでしょう。
過呼吸で倒れることもなくなったようです。
和子さんは相変わらず忙しい毎日を送っています。でも、私の所にやっ
て来ては、子供の頃から憧れていた歌のレッスンを続けています。
「真実さん、今度は聖子ちゃんの歌をマスターしますね!!」
和子さんは今、とても輝いています。
(2004年9月14日発行号より)
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