★赤ちゃんは呼吸のマスター
赤ちゃんは、お母さんを呼ぶために四六時中泣いています。
泣くことしか表現方法がないので仕方がないとしても、もう朝
から晩まで、酷い時には20分~30分も泣き止まない時が
あります。
さてみなさま、これだけ泣き続けると赤ちゃんはノドを痛めて
しまいますよね。
ほとんどの赤ちゃんは、泣き過ぎて声をからしているので
しょうか?
いえいえ!不思議なことに、赤ちゃんの声ガレはほとんどない
のです。
風邪などの病気の場合は別ですが、赤ちゃんは声をからさない
理想的な身体の使い方をしているのです。
まず呼吸についてですが、前回お話した腹式呼吸は寝ている
赤ちゃんを観察しているとよくわかります。
胸よりも、お腹がゆっくりと大きく動いて呼吸をしています。
実は、大人も寝ている時はそうなのですが、この頃はストレスを
溜め込んでいる人が多いためか、胸だけで必死に呼吸しながら
寝ていたり、睡眠時無呼吸症で苦しんでいる人も多くなっていま
す。
私もかつてはそうでした。
赤ちゃんの小さな肺で呼吸をして生命を維持させるためには、何
よりも効率良く呼吸をしなければなりません。
そのためには、肺だけを使っていたのではとても賄いきれないの
で、腹筋や背筋をはじめ手や足なども使って、呼吸を全身でサ
ポートさせます。
このスタイルは咽喉や声帯にも負担が少なく、効率の良い呼吸が
出来ます。
しかも自然で無理がありません。
赤ちゃんの泣き声ってびっくりするぐらい大きいでしょう。
あれは、全身を使って声を出しているからなんです。
その上、声帯を傷付けるような負荷もかからないから声がれもな
いんです。
私たちはみんな赤ちゃんでした。
誰でも、全身を使って効率良く呼吸も出来るし、お腹にズンと響く
ような、しっかりした深い声だって出せるのです。
それなのに私たちは…。
大人になるまでに、何だかいろんなことを抱え込んでしまいました。
精神的にも肉体的にも、たくさんの傷や痛みでいっぱい。
それがいつのまにか、身体や心を不自然な形で固めてしまう結果
になってしまいました。
そして今、そのツケが子供たちにも影響を及ぼしているのです。
(2004年7月27日発行号より)