★肺について
肺は思った以上に小さく、身体の高い位置についていましたね。
人間が呼吸をすると、この肺の中にだけ息が入ります。
私たちが呼吸をしている場所は、身体の上半身、しかも全身の
上3分の1くらいの小さな範囲でしかありません。
ふたつの肺の間に心臓がありますね。
ちょうどそれを底辺から支えるような形でドーム状の膜が身体を
横断しています。
膜を挟んで上の階が肺と心臓グループの住い、その膜の下の階
が胃腸や脾臓、腎臓などの臓器グループの住む階です。
このふたつのグループを分断するように存在するのが「横隔膜
(おうかくまく)」。
横隔膜は、お腹や腰に縦についている腹筋や腰の筋肉とつなが
っています。
さて、あなたは今、無意識に呼吸をしています。
その時身体の中では、胸をぐるっと覆っている肋骨が拡がり、脊
椎がゆるみ背中が拡がり、横隔膜がぐっと下に下がります。
ドーム型の屋根が少し浅めに平たくなったような感じです。
すると肺の周りの環境がゆるむ(広くなっている)ので、そこに向
かって自然に息が入って来ます。
横隔膜が下に下がっているので、内臓はほんの少し圧迫された
ような状態になりました。
外側から見るとお腹が少し出たように見えます。
次に息を吐く時は、横隔膜が上がり、胸が狭まります。
すると肺の周りが狭くなる為に、息は自然に出て行きます。
無意識に呼吸を繰り返していても、身体はこれだけ運動して呼吸
を続けてくれているのです。
「腹式呼吸」、これは横隔膜に繋がっている腹筋や背筋を意識的
に使って、呼吸をコントロールする方法です。
お腹で支える、お腹で息をするというのは、この腹式呼吸の事です。
(2004年7月24日発行号より)