NHKの番組「私の日々が、言葉になるまで」を観ました。
-意外と難しい別れ際の言葉-がテーマ。
文学作品の中から、別れ際の言葉をどのように表現しているかを探り、別れの言葉を考えるという内容でした。
別れ際の言葉……
難しいですよね。
私はこの頃、「さようなら」は使っていないような気がします。
60代にもなると、このお別れで二度と会えなくなるのかもしれないなと思う別れもあります。
でも「さようなら」とは、言えない。
その人と永遠に切り離されてしまいそうで、ザワザワと気持ちが乱れます。
ふと義父の葬儀を思い出しました。
棺に眠る義父に、親族が次々にお別れの言葉を贈りました。
「ありがとう」「お疲れ様でした」「ゆっくり眠ってね」
その時、義父の唯一の孫、当時高校生だった私の娘が義父の頬に手で触れて、笑顔でこう言ったのです。
「じゃあね。おじいちゃん。またね」
その言葉が胸の深いところに、ストンと落ちました。
「あ、そうか。これで終わりじゃないのよね」
私がそう言うと、娘はごく自然に「うん」とうなずきました。
義父のくしゃっとした笑顔が思い浮かびました。
「またね」は、静かな余韻のある言葉です。
大事にしたいと思います。
では、浜田真実が30年前に録音したCD「つむぐ歌」より、JOY。
お聴きください。