バーのカウンターで自分と対話する | 深層意識の力を利用し、夢を実現する

バーのカウンターで自分と対話する

 

こんにちは、作家でコーチのマスターこと浜田義之です。

 

よく「本当の敵は自分だ」と言いますよね。

 

ですが「本当の敵は自分」とは本当はどういうことなのでしょう?

 

乗り越えるべき自分の弱さのこと?
駆逐すべき自分の傲慢さのことでしょうか?

 


いいえ。
それはもっともっと奥深いもののことなのです。

 

今日のお話はわたし自身の身に、この数週間に起こったことをベースに描いています。

 

きっと、これまでの概念の枠を超えた視点を得るきっかけになることでしょう。

 

 

 

それでは毎週金曜日にまマスターの公式メルマガで連載の、一人の男の目覚めの物語、「酒と悟り」をお楽しみください。

 


最終回まであと6話です。
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   これまでのあらすじ


男はバーのカウンターで不思議な紳士と出会ったことがきっかけで、真理と悟りを求める探求の旅がはじまりました。


座禅修行で人生の師となる老師と出会い、男は自己の内面に深い静寂を見つけます。


座禅修行から帰ってきてからの男の講演や講座は大好評となり、男は成功への道を走りはじめます。


ところが「あなたは必ず成功するわ」という甘い一言に男は関わってはいけない人物に心を許し、自らのビジネスも周りからの信頼も大打撃を受けてしまいます。


自分を翻弄した人物に怒る男。


これまで男は世の中のあらゆることに腹を立てていました。


世の中に対して、世の理不尽さに対して、政治家や指導者たちに対して怒りを感じ、自分はそんな者たちの被害者だと思ってきた男。

 

が、ある瞬間、夢とも現実ともつかない世界の中で男は【現実は全て自分が創り出しているのだ】と目が覚めます。


全ての現実は自分が創り出してきたことを。

 

最大の敵は自分自身だと言われます。

 

そして男は自分自身と、あのバーのカウンターで対面したのでした。

 


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 バーのカウンターで自分と対話する
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男は夢を見ていた。

 


だが夢の中にいる時、自分は今、夢の中にいるのだとなかなか気づかない。

 

というのも夢というものは往々にして、観ている間は妙にリアルなものだからだ。

 

だから奇妙なことが起こってもそれを「奇妙」だとはなかなか気づかない。

 


この時の男もそうだった。

 


夢の中で男はあのバーのカウンターにいた。


そして隣の席には自分自身がいた。

 

 

同じ人間が二人並んでカウンターに座っていた。

 

 

隣の席には自分が座っているわけだが、男はそれを奇妙だとは感じていなかった。

 


「やあ、やっと会って話す気になったんだね」

 

と隣の男は言った。

 

男は黙って頷いた。

 


「今までは話し合う気はなかったんだろう?」

 


と隣の男は言った。

 


男は黙って隣の男の顔を見る。

 

 

「わかっているさ、言わなくても」
「今までお互いがお互いを憎んでいたんだもの」

 

 

「憎んでいた?」

 

 

男は初めて口を開いた。

 

 

「ああ、そうだろう?」

 

 


「ああ、そうだ、オレは君のことを憎んでいた」

 

 

「どんな物語でも出てくるのは、本当の敵は自分だっていうやつさ」

「だけどこの意味を理解しているものは少ない」

「今まであんたは敵は外にいると思っていたんだろう?」

 

 


「そうだ、俺は敵は外にいると思っていた」

「俺の話を解ってくれない者」

「俺の話に耳を貸してくれない者」

「俺の言うことに反対する者」

 

「だけどある時から感じ始めたんだ」

「どうして俺は俺の言うことをきかない?」

「どうして俺の思うように動いてくれない」って。

 

 


隣の男は黙って男の話を聞いていた。

 

 


「朝、起きようと思っても布団から出ようとしない」

「よし!やるぞ!人生を変えるぞ!と思っても、嫌がってやろうとしない」

「変わろうとしない」

「お金がないからとか、忙しいからとか、いろんな理由をつけては動こうとしない」

「人の言うこともきこうとしない」

「そうして自分のやり方に固執する」

 

 

「散々今までやってきて、うまくいかないってことがわかっているはずの、自分のやり方にこだわることをやめることが出来ない」

「どうして人の言うことをきかないんだ?」

「どうしてうまくいかないことがわかっている自分のやり方に固執するんだ?」

「どうして俺の...どうして俺の言うことを、俺は聞かないんだ!」ってね。

 

 

「それで俺を憎んでいたというわけだね?」

 

 

「ああ」

 

 

「だが、今夜あんたは俺にこうして会いに来ている?」

「なにが心境を変えたんだい?」

 

 

隣の男はグラスの中のウィスキーを一口含んでからそう言った。

 

 

「世の中には変わりたいと言いながら、行動しない人間が山ほどいる」

「変わるチャンスがあっても、いろんな理由を並べて行動しない」

「変わりたくないんだ」

 

 


隣の男は黙って頷いた。

 

 


「俺はそういうヤツらを観る度に内心腹を立てていた」

「だがわかるようになったんだ、それは俺自身なんだと」

 

 


「認めたくなかった自分自身だったから、腹が立っていたことが腑に落ちたんだね」

 

 

今度は男が黙って頷いた。

 

 

「今まであんたは動かない自分自身を憎んでいたんだろう?」

「変わりたいと言いながら、いざとなると動けない、動かない自分に腹を立て、責めていた」

「それが俺ってわけだね」

 

 

「ああ」

 

 

「じゃあ、どうして俺と話す気になったんだい?」

 

 

「気が付いたからだ」

 

 

「気が付いた?なにに?」

 

 

「自分の奇妙な口癖にだ」

 


「ああ、あの口癖のことだね」

 

 

「そう、俺はずっと自分で口にしながらもずっとスルーしていた」

「なんでこんなおかしな言葉を口にするのか?とは振り返ったこともなかった」

 

 


男はグラスの中の琥珀色の液体を眺めながらつぶやいた。

 

 


「思い通りにならないことが立て続けに続いたとき、俺はいつも落ち込んできた」

「ひどく落ち込んだことも数えきれない」

「そうしてこうつぶやいてきたんだ」

 

 

「ほら、やっぱりダメじゃないか」

「ほら、結局こうなるじゃないか」

「期待したらこうだ」

「こんな思いをするくらいなら、もうなにもしたくない」

 

 


そしてたまにボソッとこんな言葉がいつも口から出てきた。

 

 

「ああ、消えてしまいたい」

「そうしたら楽になるのに」って。

 

 


隣の男は男の話を黙って聞いていた。

 

 


「今まで俺は自分の口からこぼれるそんな言葉を不思議に思わなかった」

「だからずっとスルーしていた」

「思い通りにならないことが続いて、それだけ落ち込んでいるんだな」

「その程度のことだと思ってスルーしていたんだ」

 

 


「だけど、あるとき【おかしなことを口走っている】って気づいたんだね?」

 

 


「ああ、今までずっとスルーして気づかなかったけど、すごくおかしなことを口走っているって気が付いた」

「この言葉は何処からくるんだろう?」

「この言葉は誰の言葉なんだろう?」って。

 

 


知りたいかい?


その言葉を誰が発しているのか、その人物に会いたいかい?

 

 


「会えるのか?」

 

 

「ああ、会える」

 

 


「ならば会わしてくれ」

「俺はもう思い通りにならない人生に、自らを苦しめ続けることをやめたいんだ」

「もう本当に自分を幸せにしたいんだよ!」

 

 


男は真剣だった。

 

 

隣の男は男の真剣な様子を見てとった。

 

 

「俺はもう、今までのように依存したくない」

「人から承認されるために、自分を大きく見せようとするなんてちっぽけな生き方ももうしたくない」

「人を見下して、優越感に浸るような惨めな生き方はもうしたくない」

 

「悩みを愚痴りながら、頑固に自分のやり方をやめられず、結局自分を不幸にし続ける人生なんてもう嫌だ!」

 

「いつかよくなりたいって言いながら、いつまでも変わらない人生に嘆いていたくない」

「変わりたい、よくなりたいと言いながら、言い訳をし続ける人生をもうやめたいんだ」

 


「そして...そして、自分の中で引きあう綱引きで身動きが取れないのはもう本当に嫌だ!」

「自分の中の綱引きをもう本当にやめたいんだ!」

 

 

男はそう言ってから一呼吸置いた。

 

そして言った。

 

 

「俺は...俺は、もう本当に幸せになりたいんだ!」

 

 

隣の男は男の真剣な言葉を黙って聞いていた。

 

 

「どうか...力を貸してほしい」

 


男は言った。

 


「わかった、力を貸そう」

 


隣の男はうなづいた。

 


「俺とあんたで協力して、人生の流れを変えよう」

 

 

「人は変わりたいと言いながら、簡単に元の自分へと戻ろうとする」

「なんの力が働いて、そんなことになるのか知りもしないし、調べもしない」

 

 

押し寄せる思考と感情に無意識に流され、自分が流されているんだとは気づきもしないんだ。

 

 

「俺は思い通りにならないことが続くと、どうせ何をやってもダメだ」

「どうせ何をやってもダメなんだから、ならば何もしないほうがいい」と呟いてきた。

 

「そして消えてしまえたら楽なのにと呟いてきた」

 

 

「これら無意識に呟いてきた呟き」

「それが何処から来ているのかを知り、その流れを俺は今から断ち切る!」

 

 


「わかった、あんたの決意受け取ったよ」

 

 

「ありがとう」

 


男は隣の男に感謝を述べた。

 


「いや、礼なんていらない」
「礼を言いたいのは俺だ」
「俺はあんたがそうやって気づいて、俺のところに来てくれるのをずっとずっと待っていたんだ」

 

 


隣の男はそう言ってから...男の方に向き直った。

 

 


「あんた、こんな思いをするなら何もしたくない、消えてしまえたら楽なのにって言っただろう?」

 

 

 

「ああ、言った」

 

 


「その思いが悟りたいという欲求、解脱したいという衝動になっていたんだ」

「だからあんたはこれまで真剣に修行してきたんだ」

 


「だが....」

 


「あんたがこれから見るものを理解したら、悟りや解脱への衝動が本当は何だったのか、真実を知ることになるぞ」

 

 

「真実?」

 

 


「ああ、多くの人間が悟りと解脱に対して抱いている幻想だ...いや妄想と言っていい」

 


「大多数の人間は...といってもそれは自分自身の投影だから、自分が信じ込んでいることなんだが...」

「悟りと解脱をまったく勘違いして捉えている」

「勘違いして捉えている間はけして悟ることなどできない」

 

 

 

「それを知ることになると言うのか?」

 

 


「ああ」

 

 


隣の男は男の様子を見た。

男が自ら決断の言葉を発するのを待った。

 

 


「構わない」
「俺は真実を知りたい」「幻想の中で彷徨うのはもうごめんだ」

 

「俺は、俺は、もう本当に幸せになるんだ!」
「そう決めたんだ!」

 

 

男の固い決意が言葉から伝わってきた。


男のこの決意の言葉に隣の男は頷いた。

 

 

「わかった、じゃあ行こうか」

 

 


「ああ...行こう」

 

 


男と男は握手した。

 

 

これまで責めていた自分自身、責めて憎んでいた自分自身と握手を交わした。

そしておそらく本当の意味で初めて、自らの意志で自分自身を受け入れた。

そして自分と自分で協力することを選んだ.....。

 

 


男の意識はスーッと遠のき始めた。

 

 

バーに流れるジャズのBGMの音が遠のいていく...。


...間接照明に照らされた店内には白い霧が立ち込め始めた。

 

 

やがて男は深い霧に包まれた。

 

 

そして....気が付くと男はあの場面に立っていた。

 

 

「ああ!やっぱりこれなのか!」

 

 

男は目の前に広がる光景を目にして、思わず声を漏らしていた。

 


最終回まであと6話!

 

 

 

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【著者プロフィール】
浜田義之 1966年 京都生まれ。

子供の頃から大好きなことを仕事にすると決め、

20代でアメリカの世界的トップコーチに師事し、
その後、「生き方」の師となる禅の老師に師事、
真理をもとめアマゾンの先住民のセレモニーにも参加

生きがいある人生の探究をライフワークとし、
深層意識を活用したコーチングを実践

既存の枠に捉われない、斬新な観察眼を大切にし、
執筆、深層意識を使った能力開発、
深層意識を使ったライティング講座、
コーチング、セミナー講師として活動している。

特に文章表現においては「深い気づきが得られる」
「世界に引き込まれ、まるでその場で体験しているよう」など高い評価を得ている

 

かつてバーの経営者であったこと「マスター」の愛称で呼ばれる

著書に「わたしが目覚める~マスターが体験から語る悟りのお話」ナチュラルスピリット社がある