酒と悟り  | 深層意識の力を利用し、夢を実現する

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いらっしゃいませ、マスターの浜田です。

 

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どうぞ物語の行間から気づきや閃きを受け取ってください。

 

 

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      これまでのあらすじ


男はバーのカウンターで

不思議な紳士と出会ったことがきっかけで、
本当の自分へと還る目覚めの旅がはじまりました。


男はマスターからの縁から、
禅の老師のもとで座禅修行をはじめます。


絶え間なく考え続ける思考に驚き、翻弄され、
瞑想が深まる中で現れる神秘体験にとらわれ、翻弄され、
大変な思いをしながらも、
男は手放すこと、思考にとらわれない感性を磨いていきます。


そして男は自分の内に、
とても慈悲深く神聖なものがあったことを知ります。

 

 

男の「悟りたい」という願望は叶いませんでしたが、
かつてとは全く違う安らぎと落着きを身につけ、
大人になって還ってきたのでした。


そしてあの紳士に会いに、あのバーカウンターにやってきたのでした。

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     あのバーのカンターに
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男はあのバーのカウンターに来ていた。



あの不思議な紳士と会いたいと思ってやってきた。



そして自分を禅の世界へといざなってくれた、
マスターと話したいと思った。



マスターは男の話を聞いてくれた。



だまって、興味深そうに聞いてくれた。



今まで、こんなに【自分のことを聞いてもらっている】という体験を
したことがあるだろうか。



マスターはただ黙って興味深そうに、笑顔で聞いてくれた。



男は嬉しかった。



マスターはグラスを磨きながら、ずっと自分の話を傾聴してくれた。



聞いてくれている。



自分のことを聞いてくれている。




自分のこころを聞いてくれている。




それはとても幸せな体験だった。



そういえば....。



男はミハエル・エンデの童話「モモ」のことを思い出した。



ある街にふらりとやってきた不思議な女の子モモ。



いつしか街の人たちは、困ったことがあると
なんでもモモに相談するようになった。



喧嘩があったら喧嘩した者同士がモモのところに話に行った。



困りごとがあったらモモに話に行った。



するとみな、困りごとが解決したり、幸せになった。



モモはみなに何をしたのか。



モモはただ、みなの話を聞いただけだった。



話を聞くだけ。



「なんだそんなことか」



きっと人はそう言うだろう。



だけどエンデは綴っている。



本当の意味で人の話を聞くことができる人はなかなかいないんだよと。



今、男は自分の話を聞いてもらえているという体験をしていた。



そのことを感じていた。
感じ取っていた。



マスターは今、自分を聞いてくれているんだ。



自分のことを聞いてくれている。



これがこんなに嬉しくて幸せなことなんだ。



男が座禅修行での冒険談を話し終えると、
マスターはニッコリとして「お話を聞かせてくれてありがとうございます」
と言ってくれた。



男は言った。



「聞いてくれてありがとうございます」。



マスターはまたにっこりと笑顔になった。



男はウィスキーを注文した。



「シェリー樽でおすすめのウィスキーをお願いします」

「できれば途中から風味がガラリと変わるような、
後からフルーツのような甘みと華やかさがフワッと広がるような
おすすめのウィスキーがあればお願いします」



「かしこまりました」



マスターはボトルの並ぶ棚の前に立つと、
何本かのボトルを選び出した。



そして一本のウィスキーを男の前に持ってきた。



魚の絵がラベルに描かれた不思議なボトルだった。



「グレンマレイの22年、ザ・フィッシュ・オブ・サモアです」



「ではこれをストレートで」



「かしこまりました」



ウィスキーがグラスに注がれるとき、
華やかな香りが漂ってきた。



マスターがグラスを扱い、お酒を注ぐとき、
そこには洗練された美しさがあった。



それはまるで茶道の所作のようだった。



そして不思議なことに、そこには深遠さがあった。



「どうぞ」



男はグラスに鼻を近づけ香りを嗅いでみた。



糖蜜のような甘い香りと接着剤のような香りを含んだ、
華やかでふくよかな、複雑な香りがした。



香りを楽しんでいる瞬間、男は今この瞬間にいた。



頭のおしゃべりは静まり、悦に入り、今ここにいた。



ウィスキーをひとくち口に含むと、
舌のうえで琥珀色の液体は複雑に変化した。



はじめアルコールのピリッとした感触があり、
アーモンドのような香ばしや糖蜜のような甘さ.....。



舌の上で複雑に変化した。



男は変化を楽しんだ。



そして....ふわっと花が開くように、
マンゴーのような華やかな甘みが舌に広がった。



男は今を楽しんでいた。



魚の描かれた不思議なラベルをみつめる。



男の口から言葉が自然に漏れた。



「鳥には空気がみえない」

「魚には水がみえない....」



そして.....。



ふいに右隣の席から重厚で優しい声がした。



【人は自分がみえない.....ですね】



男は思わず顔をあげ、右隣に振り向いた。




懐かしいあの声....温かくて、でも重みがあり、
包み込むような懐かしい声。



そこにはあの紳士がいた。



ああ!会えた!



男は心の中で歓喜の声をあげた。



紳士は微笑みながらグラスをかかげると
「おかえりなさい」と言った。



「た...ただいま」



男は笑顔で応えた。



つづく

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