北朝鮮が韓国に動物のフン入りの風船爆弾を送った理由
北朝鮮は何でも武器に変身させる能力では天下一品と言えそうです。
5月29日の午後、300ほどの風船爆弾が韓国各地で確認されました。
中に入っていたのはゴミと動物のフンです。
その直前、韓国からは脱北者やその支援団体が北朝鮮に向けて金正恩批判のビラや食料品を飛ばしていたため、それに対する反撃だったと思われます。
実は、韓国からは定期的に風船爆弾が北朝鮮に飛ばされてきました。
中には韓国の音楽やTVドラマのUSBも入っており、北朝鮮の国民からは密かに歓迎されていたものです。
しかし、北朝鮮からすれば、これは情報戦の一環に他なりません。
当然のことでしょうが、反撃に出たというわけです。
最近、北朝鮮では金正恩総書記を讃える「親愛なるオボイ(父)」という歌が朝から晩まで流されています。
しかも、TikTok上では大ヒットを遂げているようです。
歌詞は金正恩の「偉大さ」と「家族思いの優しさ」を強調しつつ、アメリカや韓国との敵対姿勢を促すもの。
明らかに、3代目の金正恩の偉大さと正当性を国民の間に刷り込もうとしているわけです。
とはいえ、メロディーが軽快なポップス調であり、同時配信の動画が北朝鮮の多様な市民の働く姿を紹介するといったユニークなものであることから世界中で話題となっています。
従来のプロパガンダ調の宣伝映像とは大違いで、見たり聞いたりすれば、皆、踊りだしたくなるような出来栄えです。
その上、4代目と目される娘のジュエをさりげなく登場させることで、金王朝の永続性をアピールするという芸の細かさも見られます。
北朝鮮は経済的に疲弊しているとの観測が専らですが、ウクライナ戦争が長引くロシアには武器弾薬を売り込み、原油や食糧の提供を受けるという裏技にも長けている様子。
なかなかの交渉上手です。
今回の糞尿風船爆弾についても、金正恩の妹である金与正が素早く解説を加えています。
曰く「これは南の自由を求める同胞への贈り物です。南の当局者は住民の表現の自由を弾圧しながら、わが方への嫌がらせを繰り返しています。それがいかに非合理なものであるかを分からせるために、これからも贈り物を送り続けます」。
見方を変えれば、ミサイルや核ではなく、音楽やドラマのUSB入りの風船爆弾に対してゴミと動物のフン入り風船爆弾の応酬という「嫌がらせ」レベルで止まっている限りは、平和的な話し合いの余地が残っているとも言えるでしょう。
岸田首相は繰り返し、金正恩総書記と前提条件なしで面談したいと述べていますが、日本発の風船の中身を吟味すべき時ではないでしょうか。
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