BRICS拡大の動きとサウジvsアメリカの対立
去る8月22日、南アフリカでは第15回のBRICSサミットが開催されました。
BRICSとはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5か国の連合体です。
この5か国のGDPはアメリカや日本を含むG7を既に凌駕しています。
今後の世界はBRICSを軸にして展開していくことは間違いありません。
しかも、今回のサミットで、加盟国が新たに6か国増えることが決まりました。
中でもサウジアラビアが参加することになった意味は大きいといえます。
世界最大の原油産出国ですが、2030年を目標に「脱石油」を打ち出しているからです。
サウジのムハンマド皇太子の掲げる未来ビジョンは「NEOM」(ネオム)と命名された超未来的な巨大都市構想に象徴されています。
世界各国から著名な建築設計事務所を結集して、超効率性と自然との一体化を実現する未来都市構想が進展中で、総工費は5000億ドルとのこと。
この事業に必要な資金はサウジが提供しますが、必要な技術はBRICS加盟国が協力する方向で話が進んでいます。
今回のサミットでもサウジ政府は中国のEVメーカーとの間で100億ドルの工場建設契約を結びました。
NEOMには4つの巨大なプロジェクトが構想されていますが、最も注目を集めているのはTHE LINE と呼ばれるコミュニティーです。
「都市生活の革命」を旗印に掲げ、車や道路を必要としない街がベルト状に築かれる予定。
そこに暮らす人々は徒歩5分圏内で、日常のニーズを全て満たすことができ、自然と触れ合いながら健康的な生活を満喫できるといいます。
サウジアラビアはこれまで原油の収益で国家を発展させてきましたが、これからは太陽光や風力発電をメインに「100%クリーンエネルギー社会」へ舵を切るというのです。
これまでは欧米諸国が世界のスタンダードを牛耳ってきましたが、これからは拡大BRICSが新たな標準を生み出そうという発想に他なりません。
と同時に、サウジアラビアはこれまでの原油決済はドルに限っていましたが、これからは人民元を含め「脱ドル化を目指す」と宣言しました。
明らかにサウジによる「脱アメリカ」宣言でもあります。
2018年に起きたジャーナリストのカショギ氏暗殺事件以来、アメリカとサウジアラビアの関係は冷え込んだままです。
関係改善と原油の増産を求めて、先にリヤドを訪問したバイデン大統領は門残払いを食わされました。
この一件からしても、アメリカの力が衰退していることは一目瞭然です。
日本としては、衰退傾向にあるアメリカと心中するのか、拡大BRICSとの関係を強化するのか、思案のしどころでしょう。
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