ベトナム戦争を勝利に導いた戦略家、１０２歳であの世へ

１１月１９日といえば、１８６３年のこの日、アメリカのリンカーン大統領が有名な「人民の、人民による、人民のための政治」を訴えたゲティスバーグ演説を行った日です。

そのアメリカは建国以来、世界各地で戦争を繰り広げてきました。

しかし、第二次世界大戦以降は、勝利の美酒に酔いしれることはないままです。

なかでも、ベトナム戦争における敗北はアメリカ人の自信を砕き、その敗北感は脳裏に深く刻まれています。

ベトナムといえば、もともとはフランスが植民地化していました。

そのフランスをディエンビエンフーの戦いで追い払い、その後はアメリカ軍をも打ち破った立役者で、「ベトナム戦争のヒーロー」と称賛されてきたダン・バン・ビエット氏が亡くなったとの訃報が友人から届きました。

享年１０２歳。

９０歳を過ぎても元気でテニスに汗を流し、「８０代後半の部」で優勝していたとのこと。

苦学し法律の学位を取得した後、建国の父と呼ばれるホー・チ・ミン氏と共に「ベトナム独立運動（ベトミン）」を立ち上げた人物です。

当初は３１人の男と３人の女で組織したのがベトミンに他なりません。

彼らはフランスやアメリカとの戦いに勝利するため、戦争に関する本を徹底的に学習したと言います。

「孫氏の兵法」は言うに及ばず、「ナポレオン戦記」、そして過去のベトナム軍人の経験談など、世界中の戦争に関する歴史から教訓を吸収したわけです。

しかし、ビエット氏は将軍の地位には就けませんでした。

なぜなら、大きな戦功を挙げ、ホー・チ・ミン氏からは絶大な信頼を得ていたとはいうものの、出自が労働者や農民階級ではなかったためです。

戦争が終結した後は、エンジニアリングの技術を学び、建設の世界で活躍しました。

長年の戦火で破壊された祖国を再建することに、その後の生涯を賭けたのです。

まさに「人民の、人民による、人民ための国造り」に取り組んだヒーローだったに違いありません。

ところで、現在、ベトナムはコロナウイルスとの戦いの真っ最中です。

日本と違い、ワクチンの接種率は２０％程度で、高額なワクチンには手が届きません。

死者数は増えてはいますが、それでも感染者数は日本の半分ほどに押さえ込まれています。

フランスを追い出し、アメリカを敗走させ、陸続きの中国からの侵攻もはねのけたベトナム人ですから、コロナにも打ち勝ってくれることを切に願ってるところです。

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