アフガニスタンを手放さないアメリカの思惑 | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

アフガニスタンを手放さないアメリカの思惑

アメリカのバイデン政権はアフガニスタンから米軍を撤退させましたが、中央アジアの要衝である同国への関与を放棄したわけではありません。


米軍は20年に渡り、アフガニスタンで特殊部隊の育成に関わってきました。
 

表に出ることはありませんでしたが、この部隊は「ゼロ」とか「01」と呼ばれ、米軍の撤収作戦の際にも舞台裏で米軍を支えていたのです。
 

 

CIAではアフガニスタンの協力者を最優先で国外へ脱出させました。
 

その際、最も優遇されたのは、この特殊部隊の隊員とその家族に他なりません。
 

アメリカ政府の関係者や人道支援団体の活動家を後回しにして、「ゼロ」部隊の脱出を図ったわけです。
 

その数は2万人と言われています。
 

アメリカ政府の専用機で国外脱出したのは6万人ですから、3分の1は特殊部隊とその家族だったわけです。
 

彼らの大半はカタールに送られました。
 

その後、選別され、新たな任務に必要な訓練を受けるためにアメリカ本国に移送される予定といいます。
 

実は、現在でもCIAはアフガニスタン国内に活動拠点を維持しているようです。
 

パキスタンに隣接する地帯や北部並びに東部山岳地帯にゲリラ戦を展開させる「ゼロ」部隊の一部を残しているのです。
 

これはベトナム戦争当時の「フェニックス」作戦と同じ発想と思われます。
 

 

アメリカ軍の指揮の下、南ベトナムのゲリラ部隊員は残地諜報員としてベトコンの動きを把握し、ベトコンの暗殺に力を発揮していました。
 

要は、アメリカは決してアフガニスタンを放棄したわけではありません。
 

「撤収」というポーズを見せながら、アフガン各地でゲリラ戦を展開する考えのようです。
 

それが証拠に、10月15日からタリバンの代表も参加し、モスクワで開催されたアフガン復興会議にアメリカは代表を送りませんでした。
 

 

タリバン政権は国際的な認知も得られず、アメリカ主導の経済制裁を受け、崩壊寸前です。電気、水道、医療もままならず、国民のタリバン支配への不満は高まる一方になっています。
 

恐らく、アメリカはタイミングを見て、国内での蜂起を構想しているに違いありません。
 

その要となるのが「ゼロ」部隊です。
 

現在、アメリカとドイツの米軍基地で訓練を継続しています。
 

それが完了すれば、アフガン奪還へ向けた第2幕が幕を開けることになるでしょう。
 

まさに「終わりのない戦争」です。