ポスト・メルケル選挙で勝利のビールで乾杯するのは誰か
日本では1876年、9月23日、国内初となるビール工場が札幌に誕生しました。
もちろんビールの本場といえば、ドイツです。
そのドイツでは来る9月26日に総選挙が予定されています。
16年に渡りドイツを収めてきたメルケル首相ですが、これを機に引退することが決まっているため、その後継者争いは日本の比ではありません。
やはり長期政権となると、様々なひずみも出てきてしまい、彼女の率いてきたCDUは苦戦を強いられているようです。
CDU、SPD、そして緑の党の3者による熱い戦いが演じられており、ドイツの首相を決めることになる総選挙ですが、その結果に世界が注目しています。
特に中国は熱い視線を注いでいるようです。
なぜなら、中国とヨーロッパを結ぶ「一帯一路」構想の終着駅はヅイスバーグにあり、「ドイツのチャイナタウン」の代名詞だったのですが、親中派のメルケル首相の跡目を狙う候補者はいずれも「中国との関係見直し」を主張しているからです。
メルケル首相は旧東ドイツの出身ですが、異なる政党間の利害調整能力が秀でていました。
また、福島の原発事故が発生すると、直ちに「脱原発」に舵を取り、原発フリーを実現するなど、素早い行動力でも他を圧倒しています。
更には海外からの難民の受け入れにも熱心でした。
彼女自身が東ドイツの出身であることから、経済格差が10対1と目された西ドイツとの合併を通じて、貧しい移民の立場に共感できたからでしょう。
今日ではドイツで暮らす国民の4分の1以上が移民というほどです。
メルケル首相の指導力で、こうした多くの外国からの移民をドイツ社会に欠かせない構成員にし、高齢化の進んでいたドイツ社会の若返りにも成功しました。
もちろん、当初は難民や移民の受け入れには反対する声が圧倒的に大きかったものです。
しかし、彼女の合言葉「Wir schaffen das」(やればできる)が最終的には勝利をもたらす原動力になったと言えるでしょう。
確かに、今でも旧難民は偏見や格差に苦しむケースは残っています。
とはいえ、メルケル首相が女性リーダーとして先頭に立ってきたことは、間違いなく内外問わず差別されてきた多くの人々に夢と勇気を与えたに違いありません。
果たして、26日の総選挙で勝利のビールで乾杯するのはどの党になるのでしょうか。
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