中国発の不動産バブル崩壊か:恒大ショックの行方 | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

中国発の不動産バブル崩壊か:恒大ショックの行方

本日、9月21日は「世界アルツハイマー・デー」です。

 

国際アルツハイマー病協会では1994年、この日を「ぼけについて考える日」と定めました。

 

世界中でアルツハイマー病患者が増えていますが、世界最大の人口を擁する中国でも「ぼけ」や「認知症」を患う人が急増し、大きな社会問題となっています。

 

そんな人口大国で今、社会不安を引き起こしているのが「恒大ショック」に他なりません。

 

これは「中国恒大集団」という不動産開発の最大手が重大な経営危機に陥り、連鎖反応的に香港、ニューヨーク、東京などの株式市場が軒並み急落していることを指しています。

 

 

かつて「アメリカがくしゃみをすれば、日本は風邪を引く」と言われましたが、今では「中国がくしゃみをすれば、アメリカも日本も風邪を引く」という様変わりです。

 

同社は強気の投資で知られ、中国全土280の都市に1300を超える高層マンション群を建設し、顧客から頭金を集めては回転資金とし、また171の国内銀行や121の投資会社からローンを調達することで、不動産バブルの波に乗り事業を拡張してきました。

 

創業者の許家印氏は電気自動車やミネラルウォーターの会社も興し、更にはプロのサッカーチームも立ち上げるという破竹の勢いで、全人代の委員にも選ばれ、本年7月1日の中国共産党結党100周年の記念式典にも招かれたほどです。

 

 

しかし、「好事魔多し」というのでしょうか。

 

不動産バブルが弾けた今、4000億ドルを超える超過債務を抱え、経営危機に直面することになり、値引き販売をせざるを得ない状況に陥っています。

 

一時は北京、上海、深圳、広州など、世界で最も不動産価格が高いと評判となったものですが、多くの中国人は「資産形成」の一環として、住む必要もないマンションや住宅に銀行から借金をして投資をしてきました。

 

「ぼけ」とは言いませんが「欲に目がくらんだ」ことは間違いなさそうです。

 

実は中国の国内総生産(GDP)の30%は不動産部門に依存してきたわけで、成り行き次第では中国経済最大のピンチとなりかねません。

 

自己責任を唱える中央政府による救済措置はあるのか、世界の投資家が注視しています。

 

「恒大」では電気自動車製造の子会社「恒馳」の株式を幹部社員に優先的に売却することで資金調達を企てているようですが、どこまで起死回生のきっかけとなるのでしょうか。

 

 

始まったばかりの中国発のバブル崩壊の着地点はまだ見えません。

 

 

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