アメリカ式の9・11追悼の方法
明日、9月11日、ニューヨークの世界貿易センターやワシントン近郊の国防総省等がテロ集団によってハイジャックされた民間航空機によって激突、破壊されるという大事件が起きてから20年目を迎えます。
当時のブッシュ政権は即座に「テロとの戦い」を宣言し、「首謀者はウサマ・ビン・ラディンである」と断定し、彼を匿っているアフガニスタンへの全面報復戦争を始めたわけです。
世界貿易センタービルでは日本人を含む3000人の命が奪われました。
毎年、追悼式典が開催されています。
歴代の大統領も出席し、犠牲者を追悼し、テロとの戦いへの決意を新たに表明する場となってきました。
しかし、今年は例年と違う動きが見られます。
犠牲者の遺族の会から「バイデン大統領には参列してほしくない。もし参列したいなら、9・11テロの真相を明らかにしてからしてもらいた」との条件が出されているからです。
もちろん、政府の調査委員会による分厚い報告書が公表されており、19人の実行犯の全員がサウジアラビア人であったとされているのですが、誰が彼らを凶悪犯罪に押しやったのか、という肝心の疑問が解明されていません。
これでは責任の追及や補償の請求は思うように進められないでしょう。
歴代のアメリカ政権が何かを隠していると、多くの遺族は疑っているわけです。
バイデン大統領も「調査報告を再度検証する」と約束していますが、明日の追悼式典には間に合いそうにありません。
残念ながら、この20年の間、テロ事件の真相解明もアフガニスタンへの報復戦争からの撤退という不名誉な結末についても、遺族が納得できるような説明はなされませんでした。
思い出すのは、9・11テロ発生の夜に行われたブッシュ大統領の発言です。
曰く「我が国の経済は安泰だ。皆さん、家族揃って、フロリダのディズニー・ワールドに出かけて下さい。苦境に陥った航空会社を応援しましょう!」
あれから20年、ニューヨークに建設された「9・11博物館」では「9・11記念グッズ」が大々的に売られています。
一番人気は「あの日を忘れない」Tシャツで、アメリカ国旗をデザインした枕やオムツまで揃っているようです。
要するに、アメリカにとってテロと戦う最強の武器は消費力という発想なのでしょう。
言い換えれば、お金の力でテロやパンデミックも蹴散らそうということですが、貧富の格差が広がる一方の資本主義大国において、そうしたやり方はもはや通用しそうにありません。
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