地上のオリンピックを他所に、過熱する宇宙旅行開発レース
このところ世界の大富豪たちが相次いで宇宙に飛び立ち始めています。
昨日はリチャード・ブロンソン卿に遅れること9日となりましたが、アマゾンの社長を退任したジェフ・ベゾス氏が3人の同乗者と共に11分間の宇宙旅行を満喫したようです。
ベゾス氏の場合は、「ブルー・オリジン」に慈善事業家の弟、82歳の女性、そして18歳の学生を乗せての快挙でした。
実は、この女性は9歳の時から飛行訓練を始め、アメリカ空軍のパイロットとして長年活躍してきた筋金入りの飛行士です。
1960年代初頭、NASAの宇宙飛行士として、初の女性宇宙飛行士の夢を追求していたのですが、計画そのものが財政難で中止になってしまい、見果てぬ夢で終わりそうでした。
しかし、ブロンソン卿の「バージン・ギャラクティック」が民間人の宇宙旅行への扉を開いたため、2010年の時点で、20万ドルで搭乗チケットを予約し、最後のチャンスに賭けていたとのこと。
ただ、ブロンソン卿の宇宙飛行の人気は凄まじく、日本円で2000万円を超える高額ですが、既に600人を超える予約者が殺到し、彼女の順番がいつ回って来るのか分かりません。
そのことを聞き及んだベゾス氏は「あなたほど長年、宇宙飛行を待ち望んでいた人はいない。ご招待したいので、是非、一緒にどうですか」と声をかけたといいます。
その結果、彼女は「史上最高齢の宇宙飛行士」の称号を手に入れたわけです。
地上から107キロの上空に到達し、4人で10分20秒の無重力を体験。
彼女の驚きと喜びの声は82歳とは思えぬ若々しいものでした。
無事帰還した後の記者会見で、ベゾス氏は「宇宙への道を開くことができた。これは子供たちや孫たちの未来へ続く道だ。我々は地球を見捨て、他の惑星に移住する考えはない。なぜなら太陽系の中で、地球ほど素晴らしい星はないからだ。宇宙から見れば、そのことが実感できる。この地球を大切に守っていきたい」と語っています。
火星への移住計画を進めるスペースXのイーロン・マスク氏を意識した発言でしょう。
しかも、ベゾス氏は計画中の「ブルー・ムーン」号を使い、宇宙飛行士を月へ再度送り込む計画をも発表。
これも、NASAとの独占契約を売り物にするスペースXに対抗しようとする目論見に違いありません。
地上では東京オリンピックが始まりますが、宇宙では空前絶後の開発レースの幕が切って落とされたようです。
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