中国共産党100周年をべた褒めするイーロン・マスク氏の思惑
2021年の7月1日、中国では共産党の創立100周年を祝う行事が盛大に開催されています。
ただ、海外の見方は千差万別のようです。
例えば、「たった100年で貧困から脱却し、アメリカに迫る経済大国にのし上がった中国を率いる共産党への警戒心」を促す声も聞こえてきます。
同じく共産主義政権を樹立した先輩格のソ連は93年で崩壊しました。
一方、たった10人ほどで上海を拠点に産声を上げた中国共産党は今や9500万人の党員を擁するまでに勢力を拡大し、14億人もの人口を養うまでに成長しているからです。
これは生半可な努力では実現できず、多くの犠牲の上に達成されたものでしょう。
もちろん、克服すべき課題はまだまだ山積みに違いありません。
しかし、批判を繰り返すアメリカ政府に対しては「アメリカはあら捜しばかりで、批判することに熱心だが、国民の生活を豊かにしているのはどちらか考えてもらいたい」と反論。
実は、電気自動車「テスラ」や宇宙ロケット「スペースX」の創業社長のイーロン・マスク氏は「中国共産党100周年を本心から祝いたい。特に中国のインフラ整備は素晴らしい」とツイートし、中国のTVにも出演し、「中国はじきに世界1の経済大国になる」とも発言。
確かに、世界最大の電気自動車市場を抱える中国はマスク氏にとっては大事なお得意様に違いないはず。
そんな中国で、このところ相次いでリコール問題に直面するテスラであれば、中国共産党を味方につけるのは至上命題なのでしょう。
新たに電気自動車用のデータセンターを中国に立ち上げ、中国政府と必要な情報を共有する姿勢を見せています。
他にも大手製造メーカーからITベンチャーまで、多くのアメリカ企業は巨大な市場を抱える中国との関係を抜きにしては「勝機はない」と判断しているようです。
アメリカ政府や議会は対中経済制裁を次々と繰り出していますが、マスク氏が代表するような中国との関係強化を図る投資家は増える一方で、政府の締め付けは思うような効果を発揮していません。
それだけ中国共産党主導による対米工作が功を奏しているとも言えそうです。
日本としても隣国を率いる巨大組織の100年の歴史を改めて紐解く必要があるでしょう。
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