トルコの天才芸術家ナスーフの作品に触れて | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

トルコの天才芸術家ナスーフの作品に触れて

16世紀の天才芸術家マトゥラークチュ・ナスーフですが日本ではほとんど知られていません。

この度、500年前にアラブの世界で活躍したナスーフの残した細密画の展示会が都内で開催されました。



1537年にスルタン・スレイマンが行ったイラク遠征に同行したナスーフ。

イスタンブールから出発し、イラクに到達するまでに通り過ぎた宿営地の町々の様子や重要な建造物を色鮮やかに描いています。

特に、イスタンブールの全景を描いた作品は今日まで現存する寺院などが明確に描写されており考古学的見地からも貴重なもの。



また、1542年に描かれたニースやベニスの街並みにも驚かされます。

正に、タイムトリップを体験することができ、想像力を大いに刺激された次第です。

レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロに匹敵するかも知れません。

とはいえ、現時点でナスーフはトルコ以外では無名に近い人物。

しかし、会場で彼の作品を間近に見ることで、改めて普遍的な文明や文化には時代や国境を超えた伝播力が宿っていることを痛感しました。

欧米的世界から無視されているに等しい価値観にスポットライトを当てることが、これからの未来文化の創造に欠かせないでしょう。

ナスーフは詩人でもありました。

曰く「現世は客人の宿。人々は皆、旅人。この世に長く留まろうとするな」。

500年後の未来に向けて発せられた天才の言葉です。