ノーベル平和賞とノーベル賞の違い | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

ノーベル平和賞とノーベル賞の違い

ノルウェーから「さもありなん」といったニュースが飛び込んできました。

何かといえば、ノーベル平和賞の選考委員長が突然解任されたというのです。

114年になるノーベル平和賞の歴史で初めてのこと。

しかし、これはノルウェーの政治事情からすれば当然のことでもあります。

なぜなら、今回解任されたヤーグラン委員長は中道左派の元首相。

これまでもオバマ大統領や欧州連合(EU)にノーベル平和賞を与えるなど、公平さを欠く判断が物議を醸してきたからです。



日本ではスウェーデンのノーベル委員会が選ぶノーベル賞と混同されるケースもあるようですが、ノーベル平和賞はノルウェーの議会が指名する5人のノルウェー人政治家によって決められてきました。

要は、ノルウェーの国内政治に大きく左右されるわけです。

実は、こうした問題は拙著『ノーベル平和賞の虚構』(宝島社)で指摘してきた点でもあります。



「核兵器のない世界を目指す」と大見得を切っただけで、ノーベル平和賞に選ばれた際のオバマ大統領のホワイトハウスは、「こんな形ですり寄られるのは迷惑千万」と辞退を検討したほどです。

本当に核のない世界が実現したのであれば、誰も文句はつけないでしょう。

しかし、現実には逆方向に進んでいるとしか言いようがありません。

そのため、昨年、ノルウェー国内では「オバマ大統領からノーベル平和賞の返還を求める運動」が起こったほど。

選考過程が不透明で恣意的に過ぎるとの批判が後を絶ちません。

新たに委員長に就いたのは中道右派・保守党の元党首のフィーベ女史。

果たして汚名を挽回できるのでしょうか。

国際的な選考委員会に衣替えし、透明性の高い審査を確保しなければ、ノーベル平和賞は生き残れないかも知れません。