増加する一方の人質事件と鰻登りの身代金 | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

増加する一方の人質事件と鰻登りの身代金

日本人が犠牲となったシリアにおける人質殺害事件に関しては世界中からテロ集団を非難する声がこだましています。

わが国の国会でも本会議、予算委員会を問わず、いずれの党の代表も「イスラム国」を糾弾する姿勢を続けてきました。


(テロの増加など、波乱含みの2015年を予測する『エコノミスト』誌)

とはいえ、いくら声高にテロ組織を非難しても、人質問題の解決にはつながりません。

政府はことあるごとに「人命第一の立場で、ヨルダン政府をはじめとする関係国と緊密に連携しつつ、あらゆるチャンネルを最大限に活用し、早期解決に全力を尽くす」と、繰り返してきたものです。

残念ながら、そうした努力は実を結びませんでした。

なぜ、救出が叶わなかったのでしょうか。

政府は昨年8月には湯川氏が、そして11月には後藤氏がシリア北部で拘束されていることを把握していました。

というのも、後藤夫人に対しては身代金を要求するメールが届いていたからです。

ところが、日本政府はこうしたテロ組織とは直接交渉せず、周辺国のチャンネルを重視しました。

交渉経験者がいなかったためでしょうか。

実は、2014年だけをとっても、アルカイダの6000万ドルには及びませんが、イスラム国は2000万ドルの身代金を得ている模様で、彼らの交渉スタイルは欧米の政府や保険会社にはよく知られています。

実際、誘拐や拉致事件を専門で扱うコンサル会社もあり、危険地帯に赴く際の予防ソフトや万が一拘束された場合に解放交渉を代行する契約も提供しているほどです。

彼らの謳い文句は「大事な人が人質になった時には、24時間以内に交渉人を派遣します」。

自分たちに交渉人の役割が務められないのであれば、こうしたプロの交渉人の知恵や経験を活かすことも今後は必要ではないかと思われます。


(イスラム国に身代金を支払うことなく、外交交渉力で多数の人質を釈放させたトルコのエルドガン大統領)

いずれにしても、今や世界中で頻発している人質事件。

誰にとっても他人事ではありません。