日本人人質事件の背景と解決への糸口 | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

日本人人質事件の背景と解決への糸口

来週から始まる通常国会を前に、地元、鳥取県内を回り、地方創生のプラン作りに取り組んでいます。

その矢先に日本中を震撼とさせるようなイスラム国による人質事件が発生しました。

囚われの身の日本人が無事に解放されることを祈るばかりです。

しかし、こうした事態に至った経緯や背景を冷静に押さえておく必要があります。

実は、統一的な定義はありませんが、イスラム国は800万人もの人口を抱えているといわれています。



ところがイラクやシリア領内で押さえていた油田の大半を米軍主導の空爆によって破壊され、残された油田も急激な原油安の直撃を受け、収入の道を閉ざされてしまったわけです。

それまでは1日当たり200万ドルもの原油売買の収入をテコに新たな国造りの見取り図を描いていたようですが、今やそれが砂上の楼閣になりつつあります。

これといって産業基盤のないイスラム国は生存が危うい状況に。

そこで何と「人質ビジネス」が急浮上。

これまでにも欧米人の人質をとり、今回の日本人の場合とほぼ同額の身代金を要求したケースも。

アメリカ政府は表向き身代金の要求に応じていませんが、スウェーデンなどヨーロッパ諸国は1億2500万ドルを超える身代金を支払っています。

決して日本人だけを高額な身代金目的で狙ったわけではないということです。

日本では原油安でガソリン価格も下がって消費が上向く、といった見方もあります。

その一方で、原油安は現在進行中のテロや人質事件の引き金にもなっているのです。

こうした国際情勢の見えない糸を把握しておかねば、「なぜ日本人が」といった疑問は解けません。

イスラム国はごく最近、多数のイラクの人質を解放しています。

日本政府はそうした動きを事前に把握していたはずです。

解決の糸口を素早く見出し、水面下での交渉を進めねばなりません。