皇后美智子様と共にレバノンの詩人ジブランの『預言者』を聞く
レバノンが生んだ世界的な詩人、カリール・ジブランをご存知ですか。
本日、レバノンの駐日大使モハメッド・エル・ディブ氏の呼び掛けで、ジブランの生涯と彼の作品を紹介するセミナーが開かれました。
会場となったJICA地球広場の国際会議場は大勢のアラビア文学ファンやアラブ各国の駐日大使らで一杯に。
何しろ、ジブランがアメリカに移住した後に英語で綴った詩集『預言者(The Prophet)』は1933年に発表されるや、大ベストセラーになった傑作。
ビートルズのジョン・レノンも影響を受け、「ジュリア」の歌詞としても引用されているほどです。
しかし、日本で一躍有名になったのは、皇太子妃であった当時の美智子皇后様がこの詩集をレバノンの大統領から贈られて以来、その作品を愛読されていることが報道されたのがきっかけです。
また、わが国を代表する詩人である谷川俊太郎氏が編集した詩集『祝婚歌』の中に、ジブランの「結婚」に関する詩が紹介されています。
「愛し合っていなさい。しかし、愛が足枷にならないように。むしろ二人の魂の岸辺と岸辺の間に、動く海があるように。お互いにパンを分け合いなさい。しかし、同じひとつの塊を食べないように」。
ジブランは詩の才能に恵まれたのみならず、絵画や彫刻の世界でも豊かな足跡を残しています。
アラブの世界では彼を知らない人はいません。
レバノンやシリアなどでは彼の詩を基に作られた歌曲が到るところで流されているとのこと。
もっと多くの日本人に知ってほしい無形文化財的存在といえるでしょう。
実は、本日のセミナーには美智子皇后様がお出ましになりました。
会場周辺の警備がやたらと厳重だったのも、うなずけるというもの。
エル・ディブ大使が来日以来、熱心に働きかけたお陰でしょう。
これを機会に、わが国におけるレバノン理解が一層深まることを期待します。