地下350メートルの坑道で日本の地層研究の粋を体験
この週末、北海道にある幌延(ほろのべ)深地層研究センターを視察しました。
稚内から車で1時間ほどの場所にあり、日本原子力研究開発機構(JAEA)の所管。
その目的は原子力発電の使用済み燃料を再処理した際に発生する高レベル放射性廃棄物を安全に処分するために必要となる地層処分技術の研究開発にあります。
いまだ未知の世界が広がっているのが地下です。
「人キブル」と呼ばれる運搬リフトで徐々に下っていくのは、まさに地底探検の心持ち。
わが国では1976年から地層処分研究が開始されました。
ここ幌延では2001年から調査が始まり、第1段階の地上からのボーリングやモニタリング、物理探査を経て、現在、第2段階の坑道掘削調査が進められています。
清水所長や伊藤副所長によれば、「20年計画の14年目に入ったところで、これからが本格的な研究になる」とのこと。
すでに深度140メートル、250メートル、350メートルと3本の調査坑道が掘削されており、総延長は1135メートルに達しています。
原子力発電から生じる放射能のゴミ処理は悩ましい問題。
そこで、ガラス固化体という「人工バリア」と地下深部の岩盤という「天然バリア」を組み合わせることで、放射能が自然界と同じレベルになるまで安全に保管しようというわけです。
約3万年の保管期間が想定されています。
今後、第3段階では坑道内で地層や地下水、地震の影響などを直接観測し、処分システムの設計や坑道の密閉技術の開発が行われる予定との説明が。
最終的には地下500メートルまで坑道が掘削される計画といいます。
この7月から一般公開されるのですが、それに先立ち、統一会派を組む3人に自民党の松下新平参議院議員が加わり、4人で地下に潜り、地層研究の最先端を見学しました。
厳しい環境の下、官民一体となった命がけの取り組みには頭が下がる思いです。
わが国のエネルギー政策が脱原発に舵を切るにしても、こうした地層研究の成果は地震対策や微生物活用など多くの分野で応用が効くに違いないと確信した次第です。
それにしても日本の坑道掘削や閉鎖技術のレベルの高さには目を見張りました。
こうした技術を使えば、地底都市も夢ではないでしょう。