20年遅い、日本のカジノ誘致作戦
今国会での見送りが確実視されていた「カジノ法案」が復活する可能性が急浮上してきました。
というのは、明日(6月18日)の衆議院内閣委員会で法案の趣旨説明が行われることが決まったからです。
カジノ法案の推進役は自民党が中心の「国際観光産業振興議員連盟」。
通称「IR議連」です。
カジノというとギャンブルを連想させるということで、「複合型リゾート施設(Integrated Resort)」という呼称で、外国人観光客を呼び込み、経済活性化に結び付けようという発想のようです。
具体的には、2020年の東京オリンピックを目指し、銀座の歌舞伎座や築地に計画中の和食と温泉の殿堂など、日本文化の粋を凝らした総合レジャー特区を誕生させ、その中にカジノも織り込もうという構想。
何しろ、安倍総理が最高顧問を務めるIR議連。
先のシンガポール訪問の際にも、わざわざ同国のカジノを視察し、その経済効果を納得したと語る安倍総理のこと。
たとえ今回、時間切れになったとしても、9月の臨時国会では是非とも成立させようと虎視眈々の様子です。
とはいえ、「政治はギャンブル」と言うものの、実際のカジノ経験豊かな国会議員といえば、亡くなった「ハマコー」先生くらいで、カジノの功罪に生きた知識を有する政治家は皆無といえるでしょう。
そのことはカジノ法案を見れば一目瞭然。
税収アップを期待する旨が述べられていますが、シンガポールやラスベガスは言うに及ばず、最大のライバルになるマカオのカジノをいかに攻略できるのか、税制面での優遇策を含め、具体的な戦略はまったく読み取れません。
これでは欧米のギャンブル資本や先行するアジアのカジノ企業の餌食になるだけです。
昨年、450億ドルの収益を上げ、6年連続の記録更新中のマカオのカジノ産業。
世界の賭博場で大金を貢いでくれる中国人をがっちりと掴んでいます。
そのため、マカオでは2016年には今の倍近いカジノがオープンする予定。
(新たなメガカジノの建設が進むマカオ)
とにかく素早いマカオやシンガポール。
しかも、マレーシアやベトナムまでも今や空前のカジノブーム真っ最中。
2020年には日本のカジノ構想など「遅れてきたギャンブラー」になることは確実です。
自らカジノで大金をすったことのない日本の国会議員が出る幕はないかも。